英雄と墓標
(指令 SideS)


 
「セントラの施設が見つかったそうよ」
何の話の途中だっただろう、話のついでにキスティスがそう言ったのは数日前の事
キスティスの言葉に、友人達はキスティスの元へと寄っていき
俺は、足早にその場を立ち去った
セントラ、その言葉を聞いてろくな目に遭ったことは無い
セントラという言葉に興味が無い、訳じゃない
どちらかといえばむしろ知りたいことが山ほどある
だが、知ることに躊躇いもある
ここ最近関わったセントラに関する遺跡の数々
その全てに謎は潜んでいて
そのいずれも納得のいかない事がある
そして、それに必ず関わっているのが………
スコールは軽く頭を振って、考えを振り払う
余計な事を考える必要はない
―――俺には関係がない
そう言い聞かせて、話題になっているセントラの施設に関わらないようにしていた
だが………
「ガルバディア?」
その施設の発掘作業へ、SeeDの護衛が依頼された
………ガルバディア政府から
「スコール、SeeDは情報にも敏感であるべきだと思うわ、いくら噂話だとしても耳を傾けて置くべきね」
キスティスの言葉が耳に痛い
確かに、“セントラ”という言葉から、てっきりエスタ絡みだと思いこんでいた
「それで、護衛っていうのは?」
差し出された資料に目を通し、仕事の内容を聞く
「そのままよ、相手はセントラが残した建物ということで、想定される危険からの護衛ね、今の所まだ中に入る事が出来ない為、実際に何かがあったという訳ではないわ」
状況が解らない上に、何が起きても可笑しくない
「まぁ、ガルバディアも相手が“セントラ”ということで警戒してSeeDの派遣を要請してきたという所ね」
依頼書に記載された護衛の対象は、政府の役人と政府から派遣された学者数名
政府から派遣される役人は、元軍人か………
それなら実質的に完全な護衛の対象になるのは学者達
派遣人数が2名なのも頷ける
「それで誰を派遣するかだけれど………」
幾つか言葉のやりとりの後、スコール達は現地へと向かった

辿り着いたのは、静寂に満ちた小さな村だった
閉鎖的なその光景は、あの場所に似ている気がする
そして、そんな家々から離れた場所へと設置されたキャンプ地
「責任者のゴッパスだ」
ここがガルバディア政府が設置した、セントラの施設発掘調査本部
任務の期間は、一通りの調査が終わるまでだ
「今現在は施設の扉が開かない為、発掘調査は始まっていない」
確かに調査書の中にも、扉には鍵がかけられているらしいとの記載があった
そして、鍵穴は見つからないとの記載も………
「よって、当分の間は村人からあの施設についての話を聞いて回る事になると思う」
話を聞くのに、護衛を必要とするということは、彼等は歓迎されてはいないのだろう
「了解しました」
お決まりの挨拶を交わし、スコールとゼルは早速辺りの様子を確認する為に外へと出る
村の周辺にあるのは海と森
問題の施設があるのは、村と森の間にある小さな起伏のある草原
「思い当たることは?」
「いや、今の所何にも」
スコールの問いかけに、ゼルが首をひねる
「そうか、何か思い出した話があれば頼む」
なだらかな坂を下った先に、地中へと埋まった巨大な扉が見えた
 

 
 
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