(過去の情景)
遠い未来にきっと再生されるだろう伝言を撮り終える 伝えなければならない事 伝えたい事 その全てではないが、私が言わなければならないことは余すことなく告げたはずだ 早く、この伝言を受け取る者が現れれば良い この伝言を受け取るのは、私が思う人物であるなら良い もしも“彼”でなかったのならば――― 秘匿されるべき幾つかの情報 残しておくべき伝言は幾つか用意した ここを初めに訪れた者が“誰”であるのかによって、伝えられる内容は変わる 一度だけの伝言 ただ一人だけに向けられる言葉 だが、それは 「ただの感傷だな」 呟いた言葉に、答える声は無い 答えを返すことを恐れるように、辺りを沈黙が支配している 感傷を振り払う様に咳払いを一つ 最後の重要な仕掛け たった一つの“鍵”を仕掛ける 「さあ、しばらく休むが良い」
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