那須温泉 元湯 鹿の湯

温泉名なすおんせん
那須温泉
施設名もとゆ しかのゆ
元湯 鹿の湯
所在地とちぎけんなすぐんなすまちゆもと
栃木県那須郡那須町湯本181
場所概略東北自動車道の那須ICより県道17号線(那須街道)を北上する。那須高原有料道路(普通車\360)の手前左側に町営駐車場があるのでその右側の下り坂の道を行く。
駐車場専用駐車場あり。50台くらい停められる。無料。
営業時間8:00〜17:00
料金\400
風呂数男女別内風呂各7
脱衣所男女別各1
泉質硫黄泉(硫化水素型)
湯色白濁色
問合せ先0287-76-3098
入湯日2001/7/8
感想41、42、43、44、46、48度の内風呂とかぶり湯の7箇所に分かれている。那須湯本の元湯で共同浴場でもある。48度のお湯はかなり熱いらしく、入り方にもルールがある。みんなで入って3分経たないと上がれないらしい。常連の人がたむろっていて、砂時計やペットボトルを持参していた。私はのぼせていたので断念。
評価5

 那須温泉は、私が「一人旅 −北へ−」編で61番目に行った温泉です。そして、51番目に入った温泉です。
 那須温泉は那須岳のふもと、那須高原にあります。
 那須温泉に行くには、東北自動車道の那須ICより県道17号線(那須街道)を北上します。約13km行くと那須高原有料道路の料金所に着くのですが、料金所まで行ってしまうと行き過ぎです。料金所の手前に180度くらいの右カーブ、そして左カーブが連続した場所があります。その右カーブの左側には町営駐車場があります。右カーブの右側には下り坂になっているので、その坂を下りて下さい。元湯鹿の湯に着くことができます。このあたりは殺生石などの観光名所などもあるので、観光もいいと思います。
 那須温泉付近は、他にも八幡温泉朝日温泉などの温泉があり、那須温泉郷と呼ばれています。特に、那須温泉大丸温泉北温泉弁天温泉高雄温泉三斗小屋温泉、そして板室温泉は那須七湯と呼ばれています。ICからも近く、人気がある温泉郷です。
 那須温泉 元湯鹿の湯は共同浴場です。那須七湯の中では最も古くに発見された温泉です。鹿の湯と名付けられたのは、629年に狩野三郎行廣(かりのさぶろうゆきひろ)が狩りに出たときに大きな白い鹿を射て、あとを追ったところ、温泉で傷を癒しているところを見つけたためと伝えられています。
 元湯鹿の湯は、共同浴場というのがぴったりの木造の建物でした。情緒ある建物という感じでたたずんでいました。中はたくさんの人が廊下にいて、人気がある場所なんだなあと思いました。でも、なぜ廊下にいるのか、この時点で私はまだわかりませんでした。
 脱衣所に行くと、ここでも人がいっぱいでした。私は圧倒されてしまいました。そして、元湯鹿の湯がなぜこんなに人気があるのか不思議に思いました。それはお風呂に入ればわかるだろうと思い、浴場に入ることにしました。
 まず、入口近くにかぶり湯というものがありました。これは浅い浴槽でした。注意書きを見てみると、ここでは頭にお湯をかぶるところだというようなことが書いてありました。100回かぶるといい、というようなことが書いてありました。ぬるいお湯であれば、それくらいは大丈夫だろうと思って、手でお湯の温度をすくったのですが、熱い! こんな熱いお湯を100回も頭にかぶるなんて、そりゃ、無茶だろう! と私は思ってしまいました。でも、一所懸命かぶり湯をやっているおじいさんがいました。その人の勢いのよいこと、よいこと。熱いお湯を次から次へとかぶっていました。この人は常連さんだな、と思いました。
 かぶり湯の奥には浴槽が左右に1つずつ、3段になって分かれていました。合計で6個の浴槽がありました。どれも5、6人入ればいっぱいになってしまう浴槽でした。そして、色は白濁色でした。見た目はあまり変わり映えはありませんでした。でも、その中でも私が気になったのは、一番奥の右側にある浴槽には人がたむろっていたことでした。そこだけは違う泉質なのかなと思いました。とりあえず、私は近くの浴槽に入ることにしました。
 まず、一番近くの左側の浴槽に入ることにしました。入ろうとしたとき、看板があったので見てみると、「41度」と書いてありました。お湯の温度だとわかりました。ここでは浴槽によってお湯の温度が違うということに気付きました。ということは、奥のほうはもっと高いはずです。そんな不安がよぎったのですが、41度の浴槽に入ることにしました。普通の硫黄泉という感じでした。このくらいの温度ならちょうどいいかな、と思いました。
 そして、隣りにある「42度」の浴槽に入りました。先ほどよりは1度の違いですが、まだ大丈夫だと思い、次へ行きました。
 次は「43度」です。う〜ん、熱い! ここまで来るとさすがに熱いです。さらに、2つも入ったあとですから、なおさらその熱さが身にしみます。我慢できなくなってあがると、さすがに休憩してしまいました。
 少しのぼせた体を冷ませたあと、「44度」の浴槽に入ろうと足を入れました。足を入れただけでも熱い! ここまで来ると我慢しながら入らなければいけなくなってしまいました。あまり長湯できなかったのは言うまでもありません。
 とうとう、一番奥の2つの浴槽へと近づきました。奥の左側はどうやら「46度」の浴槽でした。ここは一気に浸からないと入ることができなくなるくらいでした。草津温泉の共同浴場「煮川の湯」なみの湯温でした。どうにか耐えに耐えて、出てみました。自分では1分くらいは耐えたと思いました。でも、再びのぼせてしまいました。(*_*)
 最後は「48度」の浴槽でした。ここには先ほども書いたとおり、人がたむろっていました。私が群集?の間からその浴槽を覗いたら、お湯の色が他の浴槽と違う! 他の浴槽のお湯は白濁色なのに、この48度の浴槽は黄色いのです! これには驚きました。48度のお湯だけ違う源泉ではないかと思ってしまいました。そして、浴槽の中にはお湯をかき混ぜる板があり、人がいなくなったら常連さんらしき方がかき混ぜていました。群集もよく観察してみると、地元の話をしていらっしゃる方が多く、常連さんがいっぱいいるんだなあと思いました。
 また、あたりには中身の入っているペットボトルが何本か置いてありました。それも1.5リットルの大きいサイズのペットボトルばかり。これも最初は不思議に思ったのですが、あとになってわかりました。常連さんはこの48度の浴槽だけに入り続け、ペットボトルの飲み物を飲んで休憩してまた入浴する、ということを繰り返しているみたいです。
 私は5個の浴槽に入り、ちょっとのぼせていたので、すぐには入らずにいろいろと観察していました。すると、いろいろ面白いことを発見することができました。
 常連さんの何人かは砂時計を持参してきたみたいで、砂時計が浴槽の枠に2、3個置いてありました。お湯をかき混ぜ板で混ぜに混ぜたあと、そおれという掛け声はあったかどうかはわからないのですが、みんなで一緒に浴槽の中に身を入れていました。そこで砂時計の出番です。砂時計を反転させて、じっと耐えること約3分・・・。砂時計の砂がすべて落ちてから、みんなあがってきました。そのみんなの体を見ると、真っ赤っか! 48度のお湯に3分浸かっていたらこうなってしまうのか、と私はただ驚くばかりです。そのあともチャレンジャーが出てきては砂時計を反転させて約3分熱いお湯に入る、ということを繰り返していました。チャレンジが終わったあと、ペットボトルを持参してきた人は飲み物を補給して、またチャレンジする、ということを繰り返していました。
 私は最初は驚きの方が強かったのですが、チャレンジ精神が段々と沸いてきました。そして、その想いは48度のお湯よりも熱くなったと思われたときに、独り言で「入ってみようかな。」と言いました。すると、そばにいたおじさんが私に声をかけてきました。
 「君はここに3分入り続ける自信はある?」
 なぜ、このようなことを聞いてくるのかわからなかったので、「えっ?」と私が答えると、おじさんは話し続けました。
 「ここはあの砂時計が全部落ちるまであがってはいけないんだけど、君は大丈夫? 若いから肌が耐えられないんじゃないの? もし入るなら、隣りの46度の方で3分ちゃんと入ることができてからにした方がいいよ。そうじゃなければ入らないほうがいい。」
 おじさんはそう教えてくれました。
 私はそんな暗黙のルールがあるとは知りませんでした。聞いていて、へえ〜、そうなんだ、と納得してしまいました。
 そして、ここで考えました。そういえば隣りのお風呂では1分くらいしかもたなかったはずです。そんな私が、48度のお湯に3分も入り続けることなんて無理じゃん! しかもまだのぼせているし!! 即決でした。そのおじさんには「そうですね。」と言い、私はまたしばらく観察することにしました。
 観察したあと、私は48度の浴槽から離れて、今度は逆に46度44度43度42度41度の順番で少しだけ入り、鹿の湯をあとにしました。
 廊下でたむろっていた人たちは、熱いお湯に身を浸かっていて休憩していたんだなあとあとになって知りました。貴重な体験をすることができました。
 あとになってわかったのですが、元湯鹿の湯は、以前は混浴だったそうです。浴槽の数も「41度」、「42度」、「43度」、「44度」、そして「46度」の4種類しかなかったそうです。でも、増築して男女別にし、さらに「48度」まで温度をあげたそうです。さすがに女性には人気がなかったのかな。
 最後に、私に48度の浴槽のルールを教えてくれたおじさんに感謝したい気持ちでした。皆さんも鹿の湯に行くときは暗黙のルールがあることを知ってから、お入りください。そうしないと、熱い目を見てしまいますよ。(*_*)

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