伝説!アウトファイター復活!!(前編)
我にジムに出現したアウトファイター下田(仮名)がジムを去り、練習もレベルが高いとは言い切れない
がまじめに練習をするものが多くなった。うーん。良い事だ。ジムも練習生は少ないが、体力増進も女性も
一生懸命だった。その年の夏の事でした。ガッチリ筋肉隆々の豊島(仮名)がジムに入門してきた。まだ高校3年だという。
高校は東北でも陸上の名門校でスプリンターだった。目付きが悪いぞ。もしやこの男こそ我がジム最強の男に
なるのではないかという予感をさせた。高校ではインターハイに出場損ねたらしく、ボクシングで国体を
目指したいと言ってきた。うーん。ますますいいぞ。
早速、ジャブを指導する。さすがにスプリンターをやっていただけあってステップが強烈だ。しかし、
左のガードは「お化けだぞ〜」って感じでダラリ・・。私は注意して顎を守るように拳を固めさせる。
またしばらくすると「お化け」に戻っている・・・。
うーん。少し不器用かもしれないけど、目つき悪いし根性はありそうだ。っていうのが私の感想だった。
明日の蹴りは強いが、一向に「お化け」は治らなかった。そんかな練習を続ける。彼には絶対の自信があった。
スプリンターのようなハードな競技の練習を耐え抜いた体力。ボクシングで試合するなんてことは簡単な
事だとおもっていたのだ。ボクシングは彼の考えているくらい簡単なものではないが、ボクシングジムにやっ
てくるほとんどが強かろうが弱かろうが自信を持ってくるのは普通の事である。しかし、一向に「お化け」は
直らない・・・。一応は様にならないがワンツゥーまで練習はしている。ディフェンスの練習をするが、
打ってくると分かっているスローなパンチが外せない。「むむむっ。期待の新鋭はパンチ見ていない・・」
軽くやったマスボクシングは訳のわからないフットワークで逃げまくり。顔は恐いが根性はからっきしだっ
たのだ。「ま・・・まさか彼はかの有名なアウトファイターではあるまいか・・・」
逃げまくって勝負にならないので次回は打って出るように支持。出ていったのは最初の30秒だけ。やっぱし
逃げまくり。そんでも「試合に出たい」とほざき、今度はブロックが出来ないからヘッドスリップ教えてくれと
頼みに来る。「ああ・・かつてのアウトファイターと一緒ではあるまいか・・ 」ブロック出来ないのに相手の
パンチを外すなんてこと出来るはずないじゃないか・・・。練習に来れば来るほど悪くなっていく。体力は
落ちていく。ロードワークしない。根性無し、再能無し、努力無し。しかし、試合は出たいと言う。こんな
つじつまの合わない事を言っているとは・・・。やがて新しい高校生が入門してきてジムは活気づいてきた。
私は豊島を完全に見捨ててしまったが我がジム当時唯一の選手が、新入門練習生と豊島を徹底的にマスを
やらせてボディを打たせる。豊島はやられまくり。全くの素人だった。入門して1年2ヶ月・・・。
やがて彼は二度と練習会場には来なかった。まさか再びヒビッテ攻められないファイターが出現するとは・・・。
ボクシングは甘くない。そして我がジムからアウトファイター2世が去っていった。もう二度と現われる事は
ないだろう。さらば「アウトファイターよ!」私の思い出となれ!
しかし・・2度ある事は3度有る。3代目が翌月に入門してくるのだ。思い出がまた現実になっちゃった
後編に続く・・・。
(1999.6.28更新)
このコーナーの感想をお聞かせください。拳キチ伝言板
昔の手紙を読む
作成者のページに戻る
ホームに戻る