「討論のある授業」の実際


国語:『わらぐつの中の神様』(2)


◇「おみつさんが、村中の人から好かれていたわけは?」を自学に
書いてきてもらいました。その発表から授業はスタートしました。
答えは、「特別に美しいから大人気!」・・・ではなくて、
「体がじょうぶで、気だてがやさしくて、いつもほがらかにくるくると働いていたから」です。
「働き者だと、何からわかる?」
と問いました。何人も教科書を持ってきて、「ここ!」と指さしますが、
なかなか正解は出ません。
一番最初に見つけたのが、Kさんでした。
「あかぎれの指」が正解です。
 
◇さて、今日の授業です。「二の場面の前半」です。

「行き」と「帰り」で、ほしい気持ちはどちらが強いか。
 
   「行き」→9人  「帰り」→18人  
いつもの通り、理由を書き、その後、指名なしで発表していきます。
 発表の様子を見ていると、かなり自分の出番がわかってきました。

意見→付け足し意見→付け足し意見→付け足し意見→反対意見→それに対しての意見
→まだ意見を言っていない人の意見を聞こうとする意見→それに対しての意見・・・・
 
と、こんな感じです。11人の発言がありました。
 最後には、もう一度、話し合い後の感想を書かせておしまいとします。
きちんと聞いていたこと、考えたことがわかる書き方になっていれば、
発言は少なくとも授業に参加していたんだ、ということが伝わってきます。

(Mさん)最初は「行き」にしていたけれど、意見を聞いて「帰り」に変えました。Y君が言ったように、58ページの10・11行に、「ねえ、わたしを買ってください。・・・」とあるから、おみつさんがそう思ったことだからです。あと、「しばらく←→ちらり」では、最初、しばらく見ちゃったから、また見たら変だと思われてしまうからだと思う。

(Yさん)ぼくはまだ「帰り」だ。T君の意見を聞いて、少し「行き」かもしれないと思ったけど、やっぱり、店の前にいるのがこわかったんだと思う。雪げたの声が聞こえるほどほしいんだから、ぼくは帰りだ!

(Kさん)ぼくは、Y君と同じです。「行き」のM君とかは「すい付けられた」と言ったけど、こっちは雪げたがしゃべっているみたいまで気持ちが強くなったんだと思います。
 
◇感想を読んでいると、「帰り」の意見の方に、説得力がありました。
Mさんは、「考えの変化」を書いています。
Yさんは、考えをより確かなものにしています。
Kさんは、「気持ちが強くなった」と、授業中には発言していないこと
まで書いています。
 やはり、「帰り」ですね。時間的には「帰り」の方が短いですが、
その短い時間の中で、雪げたの声まで聞こえそうなのですから。

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