英雄とテロリスト
(脱出)


 
操縦士は、同志が倒されたのを見て慌てて、ヘリを飛び立たせた
彼等は、いざというときに命を捨てる覚悟はできている
残された同志に、希望をつながなければならない
作戦を遂行した者を疑う訳ではないが、我々のアジトが彼等の手によって暴かれないとも限らない
彼は、同志よりも、未来への保険の為に倒れた男を見捨て、ヘリを飛び立たせた
宙に浮いた次の瞬間、ヘリが大きく傾いた
バランスがくずれる
何だと!?
彼はヘリの状況を信じられない思いで見ていた
ヘリの片足に、男が1人掴まっている
彼は、男を振り落とそうと、ヘリを左右に大きく振る
落ちない!?
振り落とされないどころか、相手は、体を持ち上げヘリの中へ乗り込もうとする
「は、はなせっ!」
じわじわと、ヘリに乗り込んでくる相手に恐怖を覚え、彼は、ヘリを突如下降させた
「スコール!!」
声がとどいた
続いて、銃声………
ヘリが大きく傾いだ
ヘリに乗り込もうとしていた男が手を離す
もう一度銃声が響いた
な…………
彼は鋭い弾丸を受け、その操縦席から落ちた
目前を金属が横切っていく
黒く塗装された、ヘリの機体
腕に強い衝撃が走る
左腕が、ヘリの機体に勢いよく当たったようだ
声にならない悲鳴をあげ、彼は屋上へとたたきつけられた
 
 
 
 
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