英雄と遺産
(合流)


 
「スコール?」
人の気配に振り向くと同時に、声を掛けられた
良く知った気配、声
「………何やってんだ?」
それはこっちの台詞だ
抜き身の剣を持ったラグナがいた
僅かに困ったように、考える様に、ラグナが視線をさ迷わせる
「もしかして、海賊が逃げ込んできた?」
それ以外何がある?
スコールは無言で頷く
ラグナは天を仰いで小声で悪態をついている
………やっぱり何かやるつもりだったみたいだな
「で、さぁ、その海賊はどうなった?」
「打ち抜かれて死んだ」
スコールは、男が倒れた方を指し示す
……やっぱり………
ラグナはがっくりと肩を落としため息をついた
「じゃあさ……」
ラグナの背後に、空中から腕が現れる
剣の一閃
「こういうのにも出くわしてるか?」
機械の断面を見せ、腕が落ちる
そのタイプは初めてみるが
「攻撃ならされた」
漂い出て来たボール状の物体をスコールは斬り落とす
足元を舐めるように剣を走らせ、ラグナが近づいてくる
「………帰れって言ったら帰るか?」
冗談のような口調、だが、困っている様な雰囲気と目をしている
帰って欲しいってことか?
天井付近で動き出した機械が、歳月による風化か、音を立てて崩れる
「それは命令か?」
一瞬何を言われたのか解らないといった顔をしたラグナは
「そうだ、スコールお前は今すぐ戻れ」
次の瞬間には、ほっとしたように命じた
都合が良いから便乗した
「いやだ」
きっぱりと拒絶したスコールをラグナは唖然として見ている
「……やだって……」
今にも止まりそうな音を立てる機械達を2人は片手間に切り捨てている
「命令には絶対服従じゃなかったか?」
怒ったような口調のくせに顔は嬉しそうだ
「納得できない命令なら聞かなくて良いって言ったのは、あんただろ?」
こんな状況でそんな命令、聞けなくて当然だ
あんたじゃなくって、お父さん
条件反射のようなラグナの言葉はあえて無視する
2人は同時に、音を立てて着弾した弾丸を飛びのいて避ける
「スコール」
銃身の部分がラグナの手によって斜めに切り落とされる
なんだ?
伸びてきたアームが固い感触と共に二つに折れる
「お前、この建物の地図なんか知らないか?」
地図?
「さっき、見た」
入り口を入って直ぐ、地図が掲示されていた
「じゃあ、案内して欲しい場所があるんだけどな」
「どこに行けば良い?」
どこからともなく現れる機械達が切り捨てられ足元に積みあがっていく
「まずは総合管理室、こいつらに攻撃しないようお願いしないとな」
確かに、これじゃあきりがない
スコールは先に立ち地図の場所へと走り出した
 
 
 
 
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