(事件 SideS)
『用事ができた』 そう言ってラグナは立ち去っていった スコールは、ついでだからと、強引に進められるままに、工場の内部を見学していただが、 どういう事だ? 突然灯されていた灯かりが消え、気が付けばコンピューターの並んだ小さな部屋に閉じ込められていた 「だめだ、通じない」 案内人が悲痛な声で告げる 灯かりが消えた直後は、動じる事なくすぐ切り替わりますと言っていたのだが、さすがに時間が立ち不安になったらしく、並んでいたコンピューターに噛り付いていた スコールは男の背後から覗き込んだ 無意味な光の羅列が見える 「どうなっているんだ?」 狭い室内に声が響いた 「解りません」 半泣きになりながら男が振返る 「……………」 男の様子にスコールは思わず後退った ……あんまり相手をしたくないな 彼は半泣きになりながら不気味な笑みを湛えていた 「この場所がどういう場所なのかの説明はしました?」 「……いや」 そんな場合じゃないだろう? そう言いたかったが、無言の圧力に負けて言うことが出来ない 「ここは、この施設の統括室なんです」 並んだコンピューターが“ピピッ”と規則正しい音を立てた 意味のない記号が、次々と表示されていく 「ここからの指示が伝わらないなんて事はあり得ないはずなんです」 力一杯主張して、 ………本来は………… と、力無く言葉を続けた 「システムは確かに動いてるはずなんです、ですが何かが邪魔をして、命令が送れないんです」 「乗っ取られたと言うことか?」 誰かが故意に邪魔をしている 「そう言うことだと思います」 スコールは眉根を寄せて、画面を見つめる 相変わらず記号が羅列され…… ?? スコールは、天井を見上げた 相変わらず灯りは灯っていない 「…………コレはどこから電力がきているんだ?」 「え?」 案内人の身体が硬直した 彼が恐る恐る扉へと手を伸ばす すぐ側の壁に扉を開閉するためのコンソールが出現する スコールが見守る中、扉が軽やかに開く 「…………………」 どうなっているんだ? スコールが男に詳しい話を聞こうとしたその時、遠くから何かが爆発するような音と、地響きが聞こえた 爆発? 音が聞こえて来たのは、それほど遠い場所でもない 今の状況を考えるれば、この爆発音は何らかの関連性があると考えるのが妥当だ システム復旧の最中に技術者が捕まった? ………あり得ない事じゃないな 「……調べて来る、あんたは此処に居てくれ」 その間できるなら、誰かに連絡を取ってみてくれ ただし、現状を変更する事はしない方が良い 簡単に話し合い、スコールは現在の状況を調べる為に部屋を後にした |