(敵 SideS)
爆発音は工場の外縁部付近から聞こえた 念のために調べた重要施設内への入り口は、堅く閉ざされたままだった 複雑な通路を抜け、スコールは、一般開放された工場へ出た 不意に聞こえてくるのは、声高に話す男達の声 工場内の灯かりは同じように非常灯さえも点いていない 乱雑な物音が聞こえる 扉をこじ開けようとする音 むりやり器材を奪い取ろうとする音 スコールは、息を殺し物陰に身を潜めた ……可笑しい しばらくの間、男達の行動を伺い、スコールは強い違和感を感じた システムに侵入したやり方と、目の前の男達のやり方には明らかに差がある 本気でシステムは故障しただけじゃないだろうな? ふとそんな思いがが頭を過ぎった モニターに写し出された記号の羅列を見た限りではそんなはずはないと思うのだが…… 不意に、話をしていた男達が、獲物を求めて様々な方向に散った 息を殺し見つめるスコールの方へ、灯かりが一つ近づいてくる 男が物陰に入った瞬間スコールは音も無く動いた 振り落とした手刃が首筋に決まる 「ぐっ」 塞いだ口元からくぐもった声を上げ男は気を失った 手から零れ落ちる灯かりを受け止め、手早く男を拘束する 手足を縛り、口を塞ぎ身動きが取れない事を確認して、スコールは灯かりを消した まずは、1人……… 細かいことは一通り倒してからだ どちらにしろ、まともな客で無いことは確かだ スコールは、立ち上がり暗闇の中を移動する 倒された機械が音を立てて壊れる音がする そして、罵声 ……なんでこんな奴等を相手にしなければならないんだ? 暗闇の中1人ずつ確実に倒し行くスコールの胸に不意に空しさが過ぎる 何かが崩れ落ちる音と、女性の悲鳴 「やめてください!!」 悲鳴の様な懇願の声は職員のものだ ……仕方ない…… 人質がいる以上は、外の人間は下手に動く事は出来ない スコールは内心、諦めのため息をつきながら次の敵へと背後から忍び寄った |