英雄と泥棒
(敵 SideL)


 
暗視カメラが男達の姿を捉える
……やりたい放題やってやがる
設備は半ば破壊され、製品は一個所に集められている
集められた場所には、壁に大穴が開いている
「どうやら先ほどの爆発は彼等の仕業のようだな」
脇から覗いていたキロスが呟き、側を離れ歩き出す
「私は出口へ向かうとしよう」
中に入る為に大穴をあけ、外に出る為にもそれを使う
入り口があるなら出口も存在するしな……
しかし、無謀な奴等だよな……
本来なら、壁に近づいた時点で防犯の為の装置が作動する
システムの停止がこいつらの仕業とは思えないだよな
復旧したシステムをわざと停止されたまま、ラグナは一部の装置を操り内部を確認する
カメラが見慣れた人影を映し出した
……このまま任せても問題ない気がするけどな
そろそろ動かないと後でスコールが怒るだろうけど……
どうしても納得する事ができず、ラグナは、工場内の映像をくまなく切り替えた
うん?
何度目かの切り替えの後、暗闇の中、奥へと向かい慎重に歩く女性の姿が映し出された
「当たり、か?」
職員の制服を着てはいるが、職員には見えない
暗闇の中恐れもせずに歩けるか?
まして、今は人質にとられ、強盗に入られている状態だ
小型の端末を腕に装着し、ラグナは立ち上がり歩き出す
「じゃ、ちょっといってくる」
補佐官達に声をかけ、ラグナは中へと進入を開始した
 
 
 
次へ そのころのスコールは?