(臨戦 SideS)
こじ開けられた扉に身を滑り込ませると冷たい空気を感じた そして、男達が集まっている付近の壁には外へと通じる大きな穴 外から差し込む灯りでこの場所は周囲の状況がよく見える 残りの人数は、3人 前に倒した男の証言とここから見える男の数が合っている だからと言って鵜呑みにするのは危険だ 敵である男が真実を言ったという確信も無ければ、人数が変わった可能性だってある これだけ時間が立てば応援が来ても可笑しくない 男達は取り囲むようにして職員を人質に取っている 人数は10人程居るだろうか? 簡単には手が出せないな 狭い範囲にあれだけの人がいると、適当にやっても誰か1人は盾にすることが出来る ガンブレードは持ち込んでいない 相手は手に銃を持っている 今までは素手でどうにかなったが、大量の人質がいる上に複数を相手にする自信はない 辺りの様子に目を配る 気付かれる心配はなさそうだな 工場だけあって、死角になる場所は山の様にある 穴から漏れ出る灯りだけが頼りである以上気付かれる心配はない スコールは、死角を選びながら彼等に近づいていった 声高に話されるくだらない話 成功を確信しているのか浮かれた態度の……… こんな稚拙な計画で上手く行ったと思っているのか……… 隙が多いな 注意を逸らさせるか? ……今でも充分注意力は散漫だ スコールは考え込みながら何気なく辺りへと目をやった 片隅に、ボルトが詰められた箱が見えた ……使えるかもしれない 気配を探りながら移動する 相変わらずスコールに気付いた様子はない 問題はタイミングと角度 右手に数個のボルトを掴み、コンテナの影へと移動する 発見されにくく、行動に移しやすい場所 条件に当てはまりそうな場所はそう多くはない 3人の身体が重ならない位置へと移動し、スコールは、ゆっくりと息を整えた |