(開発)
巨大なうねりを上げて、機械が作動する 幾人かの作業員が、不気味な形状をした巨大な機械を黙々と組み立てていく 機械と作業する人々を見下ろす位置から、彼女はその様子を見守っていた 「それで作業は順調に進んでるの?」 ガラスに遮られた小さな室内には、騒音にも似た作動音はほとんど聞こえてこない 「計算以上の早さだ」 隣に立っていた、白衣姿の男が満足げに答える 「さすが、と言うべきか作業の手際も良い上、飲み込みも早い」 大げさな動作で、両手を広げる 賞賛しているつもりなのでしょうけれど、馬鹿にされている気分になるのはどうしてかしら? 「エスタの馬鹿どもとは、まったく違う」 エスタからつれてきた科学者は、エスタの人間の悪口を次々とまくし立てる 私は、彼の言葉に心の中で耳をふさぎ、このくだらない男の手伝いをしている人々をじっと見つめる 怪我なんてしなければ良いけれど…… 数少ない同胞達 今後の作戦の為とは言え、この男の為に彼等が危険に晒されていると思うと心が痛む 「それで、いつ頃完成する予定なのかしら?」 男の声がとぎれると同時に、私はようやく口を挟む 「このままの調子で行けばあと一ヶ月って所かな」 自信ありげな言葉 この男がそう言うのならば、後一月で機械は完成する 不確定な事を口にしない事だけは評価できるわ 「そう、それならそのつもりで進めさせて貰うわ」 別に無くてもかまわない物だけれど、これが有ればきっと、私達が有利になるでしょうから それに、まだ少し準備が残っている エスタの警戒が強くなってしまった事は、敗因 あの一件で新たに人を送り込むことが出来なくなってしまったけれど そうね、特に必要では無い筈だわ 科学都市エスタなどと言ってもたかがしれているわ SeeDの手を借りなければ、戦闘をする事も出来ないんですもの 「後の事は頼むわね」 私は、今後の事を話し合うために歩き出した 目の前に現れた巨大な機械
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