(異変 SideS)
男の動きが明らかにおかしい そう結論が出るまで大した日数は掛からなかった 有名だとは言え、プロであるSeeDとごく普通の人間とでは、警戒の仕方も 尾行の仕方もまったく性質が違ってくる スコール達は数日の間、各地で男の様子を見張っていた たいした事はない そう思った通り、男の行動には無駄が多く、警戒も甘い 素人だな 様子を見張り初めてすぐ出した結論はきっと間違っていない だが………… 「趣味って感じじゃないよな」 ここ最近暇をもてあましていたらしく、自主的に協力を始めたゼルが難しい表情で呟く バラムホテルに泊まり込み、朝からガーデンの周囲を彷徨う 「うん、なんかの背景はあるみたいな感じなんだよね」 困ったようなアーヴァインの声 たまたま街へと出かけたガーデンの生徒を捕まえ、質問をする 「何か背後があるのは確実だろう」 そして、人目に付かない海岸に現れる船 その船へと足運ぶ男の姿 ここ数日の男の行動はそう結論づけるしかほか無い 「でも、素人だよね?」 どこかの諜報員なら、こんな馬鹿な行動は取らない もっとさり気無く、自然な行動を取る 「もう少し調べてみた方が良いんじゃないか?」 「そーだね、今のままだと半端だよね」 調べるとしたら、例の船の方か 男の行動を調べていたところで目新しい事はきっと浮かんで来ない 船を調べるとなると 「……船が必要だな」 てっとり早いのは、船の後をつけ、行き先と来た先を調べる事 だが、それには同じように見失うことなく移動出来る手段が必要になる 「あ、それなら俺がどうにかできると思うぜ」 ゼルが自信たっぷりに宣言する 「あてがあるのか?」 「おう!」 ゼルだけだと不安だな スコールはアーヴァインへと視線を移す 「僕も一緒に行くよ」 「……頼む」 スコールの意図を察して、アーヴァインが自ら名乗りを上げた そして、数日後、再び現れた船の後を追い
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