英雄と夢想家
(危険 SideS)
『あなた達にお任せします、その方が確実だと思うんですよ』
いつもと変わらぬ表情で告げた学園長の言葉
その言葉を受けて、スコール達は密かに準備を行っていた
不意に響きわたる警報
戸惑ったように宙を見上げる学生達の姿
「来たか?」
ガーデンの廊下で、ゼルは厳しい表情をし
学園の中核部へ向け走り出した
ゼルとアーヴァインからの情報を受け、密かに設定していた警報が響き渡る
スコールは、休ませていた身体を跳ね上げ
赤と黄色に点滅を繰り返すディスプレーへと視線を走らせる
『飛行物体の確認』
表示された文字を読みとり、全身に緊張が走った
考える間でも無く無意識の内に身体は動きだし
バラムガーデン操縦室へと足が向かう
セントラからここまで、時間はどれくらいだ?
距離としてはだいぶ時間が有る
だが、飛行物体
………どんな物かは判らないが、物騒な物なのは十中八九間違いないだろう
それがどれほどのスピードを持っているかで状況が変わってくる
ガーデン中に警報が鳴り響いている
疾走するスコールの姿に、一般生徒達が不安げな視線を向ける
「スコール!」
元学園長室の前、同じように走ってくるゼルの声が響いた
学園中に響きわたる警報
以前も同じように警報が鳴り響いた事が有った
忘れることのできないその音に、思い思いにくつろいでいた生徒達が強張った顔をする
そして、空気が緊張する
緊張した面持ちで周囲に視線を走らせる彼等の耳に、機械を通した音が聞こえる
マイクの向こうから聞こえるざわめき
「全員衝撃に備えろ!」
通る声が聞こえ
彼等は反射的にその言葉に従う
「学園外にいるやつはバラムへ向かうんだ」
間髪おかず訪れる衝撃
かなり強引に、ガーデンが大地から切り離される
あちこちで悲鳴や叫び声が上がる
大地に固定しきれて居ないガーデンは、振動と共に浮かび上がった
久しぶりにガーデンが動き出した
眼下で、建物の中に居なかったごく少数の生徒達が車に乗り込みバラムへと移動する姿が見える
「すぐにこの場を離れるぞ」
言葉に従いニーダがガーデンを操る
「何が起きるというの?」
警報が鳴ると同時に、警戒するよう伝えていた効果か、SeeD達が取り決め通りに動いていた
「……わからない」
詳しいことはまだ何も判っていない
「判らないってさ……」
声とほぼ同時に衝撃が襲う
空気が伝える振動
辺りに広がる閃光、そして爆音
連続して、起きる爆発
「…………………」
“ごくり”と、誰かが喉を鳴らす音が聞こえた
次へ その頃エスタは
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