英雄と夢想家
(分析 SideL)


 
セントラの大地、自然に作り出された洞窟の中に彼女たちのアジトは存在している
複雑に入り組んだ入り江
小舟がようやく入れる様な細い水路を抜けた先の入り口
遠く、レンズ越しに見える光景
「上手い事考えたな……」
見れば見るほど、良い場所の様に思われる
もし、まともに進入するつもりならば
こんな地形では、気づかれないうちに中へと進入する事は不可能に近い
「洞窟の内部の様子、なんてのは、まったくわかんねーんだろ?」
周辺の地形の細かい部分は、スコール達が探索している
探索していると言っても、実際に動いているのは機械であって彼等は操作しているだけだ
……その操作ってやつも難しいんだけどよ
実験の段階で上手いこと操作する事が出来ず、ラグナは機械を破壊している
試作品の段階であったためその状況もデータとして利用され、操作性は改善されたという話だが、流石に次の時にはさわらせて貰うことは出来なかった
あれも便利なんだけどな、使う人を選ぶからな
ついでに、内部の方も探索できれば良いんだろうけど、さすがにそこまで手は回らないよな
周辺地域の詳しい事が判った上で、尚かつ洞窟内部の事が少しでも判明していれば作戦を立てる上でこれほど有利なことはない
内部の見取り図など存在するわけもないよな……
理想ではあるが、誰1人として中に入った事が無い現在の状況では無理だろう
さほど期待もせずに口に出した言葉
「大まかなところで良ければ判る部分もあるな」
だから
「………そっか………!?」
言われた言葉をすんなりと聞き逃しかけ、慌ててキロスを振り返る
「判る部分がある、だぁ?」
「優秀な人材と、優秀な機械と言うモノは、こんな時に力を発揮するのだよ」
もっともらしく告げられる言葉
……………人材と機械……か
ってことは
「つまり、ついでに、中の様子も探ってるって事か?」
モンスターを送り込む訳にはいかないだろうけど、小動物なら問題ないかもな
「そんな所だ」
多少、工夫は必要になったがね
つぶやかれるキロスの言葉を無視し
「それで、中はどんなんだって?」
キロスの手元を覗き込んだ

「この辺は人工物だと思われます」
解析されたデータを片手に、研究員が説明をする
「ここまでは自然の洞窟、なんだよな?」
わかりやすいようにと色分けされたデータを見つめる
天然のを人工的に拡張したってところか……
「はい、元々の洞窟はそれほど大きなモノでは無かった様で……」
……この手の作りだと、気づかれずに進入する事も難しいが、やっぱり一度踏み込まれると逃げ道が無いよな
ま、ソレを探す目的で、スコールが森の中探ってるんだけど
まだスコールからはめぼしい物を発見したという報告は無い
説明を聞きながら、ラグナはデータを見つめ様々な事に考え巡らせる
「……この辺の地質もそれ程堅いものではないらしく……」
危険だな、柔らかい地層ってのは破壊されたらソレまでだ
幾つかの作戦が脳裏に思い浮かんでいる
だが……
「周辺の地形はまだ出てないんだよな?」
どうするかは、あっちの結果が出てから考えるか
 

 
 
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