(警備システム SideL)
二つの声が響く 一つは侵入者を排除しようとする感情の無い警備システムの声 一つは固定化された機械がどこにあるのか教える感情豊かな総括システムの声 解っているのに手が出せず 自分の一部―――元は総括システムの管理化にあったらしい―――が勝手な行動を取る そんな不条理な状況を味わっている総括システムが苛立たしげに言葉を紡ぐ まぁ、助かるって言えば助かるかもしれねぇんだが、それよりも煩い 大騒ぎしながら―――騒いだのは俺じゃないんだよな―――たどり着いた扉の前 「ここが警備の中核、でいいんだな?」 独立したという警備システムの収まっている場所 「知らない間に配置換えでもしてないかぎりは」 さっきとは一転落ち着いた声が告げる 「で、壊しても問題はないんだな?」 まぁ、壊すな復旧させろって言われても無理だけどな 「ええ、私本体はこの場所から遠い場所に居ますし、新しく造られた外側の施設も警備システムとの連動箇所はないですから、安心して思いっきりやっちゃって下さい」 確かにわざわざ壊れた箇所と連動するシステムを新しく作ったりはしないだろうな 途中警備兵から奪い取った銃器を手に、ラグナは扉へと身を寄せる さすがに、総括システムにも敵の本拠地になるこの中の様子は把握できないらしい ―――だから、警備システムの破壊を断念したんだろう ラグナの手が扉へと触れる 「………で、この扉はどうしたら開くんだ?」 「扉の左側のプレートに手を乗せれば………データが登録されていれば開くんですけど………」 さすがにデータが登録されてるってのは、ないんじゃないか? 「ちなみにデータを送り込むなんつーことは………」 「出来ないことはないかと思いますが」 通路の向こう側に警備兵の姿が見える 「まぁ、とにかくチャレンジしてみてくれ」 無造作に撃った銃から軽い音がした 扉が開くと同時に幾つもの光が放射される
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