英雄とセントラの謎
(報告)


 
「セントラ時代の遺跡を一つ破壊した」
スコールの突然の言葉にラグナは驚きに目を見開く
「………何したって?」
スコールがセントラに行っていた事は良く知っている
だが、施設を破壊?
「詳しいことを話したい」
詳しい事?
スコールが言う必要が在る、とそう思う様な事なのか?
スコールの言葉に驚きながらもラグナは話を聞くことを了承する
何か―――真実を掴んだんだろうか?
かすかに緊張を抱きながら、ラグナはスコールを伴い場所を移動した

セントラ大陸の西にその施設は在った
スコールの語る大まかな場所、その辺りに研究施設が在る―――在った等という資料は残されていない
今まで見たセントラの遺跡のどれとも様式が異なっていた
セントラは長い歴史を有していた、その歴史の中で様式が変化したという事は別に不思議ではない
何かの予感を抱きながら、ラグナは冷静にスコールの言葉を聞いていた
一部の機能が失われていたという施設
半ば故障し狂った機械
放置された歳月を思えば、それは仕方の無いこと
そうなってもおかしくはない、事
だが
「施設が製造していたものはモンスターだった」
スコールの言葉にラグナは椅子を蹴り倒して立ち上がる
「モンスター、だと!?」
そんな馬鹿な、まさかそんな
意味を成さない言葉が頭の中を巡る
スコールの口から語られる光景
モンスターの形を成しては居なかったが、モンスターである事は間違いないという物体
怒りを抑えたスコールの言葉に、ラグナは目眩を覚える
モンスターを創り人を襲う
滅ぼすために巧妙に操られたモンスター達
そんな許し難い存在のことは………
そうだ、知っていた、知っていた筈だった
「あの施設は破壊した、もう機械は動いては居ない」
スコールの言葉にラグナはただ頷く
途絶えることのないモンスターの姿
幾度と無く繰り返された攻防
「それと、モンスターが居た」
モンスター?
スコールの言葉に疑問を発しかけ、ふと気づく
「見たこともない形と能力だった」
スコールの言うソレは、壊れては居ないモンスター
「どんなヤツだ?」
ごく当たり前の問いかけの言葉
返ってきたスコールの言葉にラグナは悲鳴を上げそうになった
人の形、人に良く似た姿
―――生き残り
思い浮かんだのはその言葉
きっと、遙か昔封印されることを逃れた人
不明とされた敵の姿
幾つかあげられていた、その正体
「そいつは、倒したのか?」
ラグナの問いかけに、スコールはしっかりと頷いた
 

 
スコールサイドへ ラグナサイドへ