英雄とドール
(ドール)


 
世界の情勢は変わった
いや、今までも変わりつづけていた
だがその大半は、我等には関係のないこと
だからこそ、我等は変わることのない生活をただ繰り返してきた
何が起きようとも変わることのない生活
だが、世界に変化が現れた
我等が変化だと、感じる出来事が生じた
ドール帝国
我等は正当なセントラの後継者だ
セントラの血をひき
セントラの意思を継ぐ
「エスタに連絡を取らねばなるまい」
私の発言に、評議員の大多数が賛同の意思を示す
残りの少数の者も、もう少し見極めるべきだという消極的な意見が殆どで、反対する者はいない
エスタへ、大統領へと招待状を送ることが決定される
「文面はどうする?」
その言葉に我等は一様に考え込む
「そうであると決まったわけではない」
そうであるかも知れぬとは思っているが、そうであると決定した訳ではない
「そうであった場合はどうする?」
我等は再び黙り込む
「それと、招待状を送ったからと言って、大統領が来国するとは限りませんよ」
確かに、他国の状況を見れば、大統領自らが招待に応じていることはほとんどない
「だが、彼に来て貰わねば意味がない」
エスタの誰かを招待したい訳ではない
我等は長い間話し合いを重ね
一つの細工を施すことに決めた
 
 

  

 
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