(確認 SideL)
隠された場所 忘れられた場所 エスタ大統領官邸、その奥深くに位置するその場所でラグナは古い資料を探していた ドール建国時の資料 そして、セントラ時代のもの 調査書に明記された名前が本物なら、資料が残されているはずだ 映像関係はもちろん役には立たないんだろうけどな 今に続く人間がいたかどうかだけでも探っておく必要がある 本物なのか、偽物なのか 「対応が変わってくるからな」 幾つもの書類が引き出され、ラグナの手元へと置かれる セントラ末期の頃の主要人物 そしてドール建国時の中心人物 それから、渡された調査結果 この3つの資料の中で、同一の名前を探し出す 書き連ねられた幾つもの名前 「………自力で探すのは大変だな」 ラグナはちらりと壁を見つめる 「お手伝いしましょうか?」 ラグナの視線を受け、不意に声が響く 「ああ、頼む」 そうラグナが答えると、すぐさま壁の中から複数の“手”が伸びてくる 「こちらは私に任せて知りたい事をご確認ください」 「知りたいこと、か」 声に言われてラグナが苦笑する 改めて言われると困るな 特に知りたいことがある訳じゃない いや、知らずにいたいってのが本心 出来ることならば、忘れていたかった ………それは、許されないことだけどな 「そうだなぁ………」 ラグナは手元にあった書物を手に取る セントラ末期 セントラが滅びた直接の原因は月の涙だ だが、間接的な様々な原因の事を詳しくは知らない ラグナは文字に目を通す 古代セントラ文字 エスタの文字の元になった文字の数々 書き記されているセントラが滅亡するまでの数か月の時 予測された“月の涙” 秘密裏に伝えられた襲来の情報 国内から脱出した幾多の人々 あえて、セントラの地にとどまった人々 強い覚悟といずれ訪れる未来のための布石 「………息苦しいな」 その時の状況が生々しく感じられる 「解析が完了しました」 タイミングを計っていたんだろう声が告げる 「該当者はいたか?」 ラグナの問いかけに幾つかの名前が示された |