英雄と少年
(発端)


 
「連絡しよう」
それほど大きくは無い集会場
集まった者達の様々な証言を聞き、答えを出した
戸惑った様な声と安堵の声
そのどちらもが集まった人々の間からあがる
咳払いと注意を促す声が聞こえ
「被害は少ないとはいえ、相手はモンスターだ。これから先も無事に済むとは限らないだろう」
人々に言い聞かせるように言葉を紡ぐ
モンスターに襲われたにしては、怪我人が出たとはいえ、被害は軽いだろう
モンスターは攻撃をしない限り向かっては来なかった
という証言があるとは言っても、次もそうだとは限らない
次は襲われるかもしれない
次に現れるモンスターは、別の種類のモンスターかもしれない
さまざまな可能性、危険性がある以上、モンスターを放っておくことはできない
「それはそうだが………」
村人達が煮え切らないのも無理は無い
連絡をし討伐を頼めば、その分金がかかる
「安全の為だ、それに幾らか蓄えはある」
非常時の為にと積み立てていた金から依頼の為の費用はまかなえるだろう
「それならば」
しぶしぶと承諾する声が幾つか聞こえる
「どちらにしろ、我々にモンスターを倒す程の力は無い」
バラムガーデンが出来てからというもの、この国には軍と呼べる組織は無くなった
昔“軍”と呼ばれる組織に所属していたものは年をとり、若者達は戦い方を知らない
我々の手には負えないのならプロの手に
それは当たり前の事だと言えよう

話がどうにかまとまりかけた時、依頼内容について一つの提案がされた
 

 

 
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