英雄と少年
(モンスター)


 
風に乗って聞こえて来る声
モンスター
ガーデン
そしてSeeD
とぎれとぎれに聞こえてくる言葉
最近村で起きたモンスターの被害
村の中が荒らされて食べ物や道具が無くなった
怪我をした人も少し居たけれど
“自業自得だ”
沢山の人達からそう言われているのを知っている
それと同時に
モンスターに襲われたにしては被害が少ない
モンスターが襲った後には見えない
案外誰か人がやっているんじゃないか?
大人達がこっそりと話す声
様々な声が伝える噂話
じっと窓の下で蹲って話を聞いていると
ガーデンという所からSeeDっていう人が来る事が解る
「来るんだ」
大人達の会議で呼んだという人
モンスターの事を調べるという人
「皆に知らせないと」
新しい人が来るってこと
窓の下に蹲っていた身を起こし走り出す
近くに居た大人達が驚いたようにこっちを見る
「どこに行くんだ?」
誰かとすれ違った時に聞かれた言葉
言葉に返事は返さないで目的地に向かってただ走る
「SeeDが来るんだって」
「SeeDって何?」
「大人達が頼んだ人」
「モンスターをやっつけるの?」
「違うよ、モンスターの事を調べるんだよ」
僕の報告に次々と言葉が返ってくる
皆勝手に話をして、話がどんどん進んでいく
「それでどうするの?」
誰かが言った言葉に、僕たちは皆首を傾げる
「別にどうもしないんじゃないか」
年上の少年の言葉に
「どうもしない?」
皆が復唱する
どうもしないって何?
「だって、俺達には関係ないだろ?」
「関係ないの?」
「関係ないんだよ」
それならいいか
納得したように呟いて友人達が辺りに散る
僕はもう一度首を傾げる
関係ないって、何?
ぽんぽんって、頭を撫でられる
頭を撫でられる理由もわからなくて、首を傾げる
「遊ばないの?」
近くから聞こえた言葉に慌てて首を横に振る
「じゃあ、行こう」
手を引ひっぱられて、僕は皆と遊ぶ為に走り出した

「SeeDなんて、どうせ役に立たないよ」
後ろから声が聞こえた
 

 

 
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