英雄と少年
(救援 SideS)


 
「モンスターが現れない?」
「そうなんだよ〜、私達がここに来てから全然出てこないんよ」
セルフィ達が例の任務に当たってから5日
それまで頻繁に姿を現していたというモンスターが全く姿を見せない
「可笑しいわね」
キスティスの視線がスコールへと向けられる
「餌場を変えた可能性は?」
可能性は低いが無いとは言い切れない
「調べて見るわ」
そう言って通信機から離れるキスティスと替わる
「モンスターの襲撃の跡は調べたのか」
「一応見ては見たけど、村の奴等が片づけた後みたいでさ、大した痕跡が見つからないんだよな」
肩を竦めながら、成果は無いとゼルが答える
勝手に証拠を消すな
と言いたいところだが、それもある意味仕方が無い
「目撃情報は?」
モンスターの姿を見たヤツは居るんだろう
「んー、怪我をした人に直接モンスターの事を聞いては見たけどね」
対峙したというモンスターの特徴
去っていった筈のモンスターの行方
「なんだか良くわからないんだよねぇ」
相変わらずの口調で言うアーヴィンの目に一瞬浮かぶ色
不審な所があるのか
「周囲の調査は?」
「今から詳しく見てみるつもりやけどね」
SeeDが現れると同時に姿を現さなくなったモンスター
はっきりしないモンスターの姿
はっきりした事を語らない村人
わざわざSeeDに依頼した以上、村全体が関わっているとは考えにくい
「全員に詳しい話を聞いてみたらどうだ?」
だが、一部の人間は何らかの関わりがある可能性は捨てきれない
「それとなく話を聞いてはいるけれど、もう少し幅を広げてみるよ」
「頼んだ」
初めからモンスターの仕業では無い可能性は考慮されていた
その可能性は大きくなった
「何か解ったら連絡をするからさ………」
「他の村に被害が出ている様ならすぐに連絡する」
「頼んだからね」
明るく手を振るセルフィの姿を最後に通信が切れる
村人には解らないよう、周辺を探った方が良さそうだな
依頼された内容はモンスターの調査
村の一部が隠そうとしていることだとしても、依頼があった事は事実だ
ガーデンは事実関係を調査し、伝える義務がある
「情報を纏めるよう指示を出してきたわ」
扉を開けて入った来たキスティスが報告する
「セルフィ達とは別に周辺を探る必要があるかもしれない」
スコールの言葉にキスティスが肩を竦めて見せる
「それはかまわないけど、割に合わないわね」
契約された金額と仕事の内容
「仕方ない」
SeeDを複数投入する時点で既に予算はオーバーしている
「ま、いいわ、どうせあの子達は無償奉仕だわ」
依頼を受けたのはセルフィ、後の2人は暇を持てあました上で、ただついて行ったおまけだ
「それで誰を派遣するの?」
キスティスの言葉と同時に、ディスプレイに仕事を受けていない人物がリストアップされる
村人からSeeDだと察知されることのない人物
目立つ武器を使う奴は向かないな
素手ならゼルが最善だったのかもしれないが、アイツは既に村に入っている
スコールの手が情報を絞り込む
条件に合う人物が幾人か表示された
 
 
 
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