「そんなに騒ぎになっているのか？」
問いかけの視線の末にスコールが口にした言葉。
“エスタ”で話題に上る程広く事件が語られているのか、そういう意味ならそうじゃない
ただ、キロスが知っていて、ワザワザ俺に言う程度には話は広まっている
「いや、今の所騒ぎにはなってねぇな」
事件―――モンスターの件に関してはそれなりに情報が動いている
ま、他の国の事はしらねぇけどな
「………何故、あんたがここに居る？」
スコールの問いかけは、口に出て当然かもしれないもの
立場なんかを考えればそうなんだけどな
いい加減、行動パターンも掴めた頃だと思うんだよな
キロスやウォードに言わせればこれほど単純なものはないって話だし？
だいたい、その質問への回答はいつだって同じだ
「気になったからな」
俺の言葉に、スコールが気に入らなさそうに不機嫌になる
けどな、それ以外に他に答えようがない
ここで何が起きているのか
モンスターがなんなのか
そんな事全く解ってはいない
モンスターの存在が気になる
それがなんなのか、確かめたい
ただそれだけだ
「………行くのか？」
スコールが村を指さす
「いや、近づかない方が無難なんじゃないか？」
村の中にいるっていうＳｅｅＤ
ＳｅｅＤもいろいろいるらしいが、派遣されたのはスコールの友人達
騒ぐことはないんだろうけどな
「村の様子もあまり良くはないんだろう？」
田舎の半ば閉鎖された場所
村人にとっては、部外者は誰もが怪しい
今の状況で村の中に入るっていうのは、敵を増やすみたいなもんだ
「スコールは行くのか？」
ＳｅｅＤの仲間だというのなら、俺とは違った扱いを受けるだろう
もっとも、今居るＳｅｅＤの奴等の働き次第で、扱いは変わるだろうけどな
スコールが少しの間考え込む
「………村に行くのは後だ」
やっぱり村の中に何か問題があるってことか
スコールの言葉に曖昧に頷きながら、足を森の方へと向ける
スコールが迷ったように山へと視線を向け、後を着いてくる
「………………」
森の中へと足を踏み入れた所で、ラグナは後ろを振り返った