(依頼 SideS)
「今度はなに〜?」 横から伸びてきた手がキスティスの手の中から書類を奪い取る 「ちょっとセルフィ」 セルフィが勝手に取り上げた書類はエスタからの依頼書 「んー、ラグナ様ではないんやねぇ」 「解ったら返してもらえるかしら?」 依頼はエスタの研究施設 大統領からの直接の依頼では無いけれど、国を通した正式な依頼 SeeDが受ける依頼としては、条件が良いものの内の一つである事は確かなのよ 「んー、けど相変わらず変な依頼が多いね」 セルフィの手元を覗き込んだアーヴァインが言う 確かにモンスターの身体の一部を送る事 モンスターに関するデータを送る事 この二つが依頼内容だなんて変わっているとは思うわ けれど 「きっとオダイン博士が関わっているんでしょ」 私の言葉に二人が微妙な表情を浮かべる 優秀なのだろうけれど変人 彼に対する印象はきっと私達共通のもの 「まぁ、依頼者はおいとくとしてさ、この依頼受けるの?」 アーヴァインがセルフィの手から書類を取り上げひらひらと振ってみせる 「不審な点は無いし条件もいいわ」 モンスターの身体の一部を採取するという依頼自体に気になる部分がまったく無いと言えば嘘になるけれど、SeeDの仕事としての依頼にはおかしな所は無いわ 依頼料として支払われる金額にも文句は無い 「なら受けるんだね」 ようやくアーヴァインの手から書類が手元に戻ってくる 「じゃあ、誰が行くのかだね」 セルフィの声が弾んでいるのは、エスタに行くことを思ったからかしら? けれど、残念ね キスティスはわざとらしい笑みを浮かべる 「そうね、世界各地を巡る事になるでしょうから複数の人材を用意した方がよさそうね」 「え?」 「エスタ以外の各地のモンスターのサンプルとデータを取るって仕事だよ」 不思議そうに瞬きをするセルフィにアーヴァインが依頼内容を説明している 「ちゃんと見てはいなかったみたいね」 依頼書には依頼人と簡単な依頼内容が書いてあるもの キスティスの言葉にセルフィはばつがわるそうな表情をしてみせる 「効率から言えば複数で任務に当たるのが良いと思うけどね、その事も含めて連絡したら?」 言葉を続けると同時にアーヴァインは依頼書に書かれたアドレスへと通信をつなげた |