(調整 SideS)
「各地域ごとに出没するモンスターのデータとそのサンプルを入手するわ」 どの地域にも同じように出没するモンスターも居るけれど、地域ごとに出没するモンスターの特性は違うのが普通 「次に、任務に当たるSeeDを担当地域毎に区切ります」 キスティスの言葉に、集められたSeeD達がそれぞれ承諾の意を示す どうしても同じSeeDに担当して欲しいとの要望は無かった 一人のSeeDを雇い入れても複数のSeeDを雇い入れても、必要になるだろう期間の問題でこちらの依頼料に大した違いは無い もちろん依頼主と協議の上で、地域毎にそれぞれSeeDを投入する事が決定している 派遣地域はエスタ以外の各地 一度に必要となる人数はそれなりの数 同じ時期に何人ものSeeDが居なくなると人手不足の可能性もあるけれど 依頼内容はモンスターを倒しデータとサンプルを集める事 エスタからの依頼は難しい物、人を選ぶ物が多かった けれど、確かに手強いモンスターが出没する地域があり高ランクのSeeDも必要ではあるけれど、依頼内容自体はそれほど難しくはないからその心配も必要ないわ 「それと依頼者からの要望で入手したサンプルは痛まない様に保存、早めに手元に送るようにして欲しいそうよ」 何に使うのかは解らないけれど、痛んでしまっては必要とするデータを入手することは確かに難しくなる キスティスはエスタから渡された保存用のパッケージをそれぞれへと手渡す サンプルの回収はさすがに未開の地は無理だが、都合がつく限り毎日行われる手はずになっている 「数が足りなくなりそうだったら、その都度申し出て頂戴」 回収要員が行くのだから、数に不安を感じたらその時に申し出れば良い 「期間はおよそ1ヶ月、ただしこれ以上新しいモンスターの種類を望めないと判断したらその時点で切り上げて貰ってかまわないそうよ」 どの地域でどんなモンスターが生息しているのか モンスターの特性がとんなものなのか オダイン博士が知りたいのはそんな内容 依頼はモンスターを殲滅することではない キスティスの言葉に全員が了承の意を示す 「それで質問はあるかしら?」 細かな内容は既に書類で渡している 書類を見ればある程度の事は解るようになってはいるはずだけれど キスティスの問いかけに一人が手を挙げる 「何かしら?」 「モンスターは1種類につきサンプルの数は幾つでしょうか?」 サンプル数、か 指定した大きささえあれば数はどうでも良いみたいだったけれど 「依頼主からの指定は特にはないわ、けれど念を入れて2体以上は有った方がいいわね、その際は部位を変えて頂戴」 採取したモンスターの部位によってはデータ採取が難しい可能性もあるかもしれない 採取した個体が特殊な状況にあるかもしれない その点を考慮するのなら、最低でも2体以上のサンプルが必要 正確に聞いて置かなかったのは、失敗だわ キスティスは内心こっそりとため息を吐く 「サンプルとする部位については、モンスターの種類が決まっているのならともかく、モンスターの形態が違う以上アドバイスも出来ないわね」 自分で判断するように そう言った意味を込めた言葉に、反論の声はあがらない 「他に質問はないかしら?」 キスティスの言葉にそれぞれが手元に有る書類へと改めて視線を落とす 沈黙と確認の為に紙をめくる音 確認を終えたSeeD達が視線を上げる 誰も何も言わないわね 最後の人が顔を上げてから1分以上の時間が過ぎる 「何もないのならこれで解散するわ、各自担当エリアへ向かって頂戴」 キスティスの言葉に彼等は一斉に敬礼するとそれぞれのペースでこの場を後にした |