英雄と情報
(探索)


 
見渡す限りの平原
目に見えるのは膝下程度の草木
その中にぽつりぽつりと残された石積み
かつてここに存在したという遺跡の後
この地には何も残されてはいない
ただ何かが存在していた痕跡が残されているだけ
この場所に何も残されていない事は有名
改めてこの地を調査しようなどと思う者はいないだろう
仕方無いじゃないか
私が個人として調査出来るよう場所はここぐらいしか思いつかなかったのだから
ここ最近見つかった遺跡の数々は、発見された場所を領土に持つ国がそれぞれ押さえている
それらの遺跡の調査を行うにはコネと実力が必要だ
しがない研究員にすぎない私はそのどちらも持ち合わせてはいない
だから
誰もが足を踏み入れる事の出来る場所か
誰も発見してはいない場所
それとも見る価値も無いとされた場所
調査できるのはそれぐらいしか残ってはいない
誰でも足を踏み入れる場所
そこはいつでも誰かが訪れる可能性がある場所ということで、調査をするには若干不向きだ
誰も発見してはいない場所
そんな物があるのは大抵は人が入り込まないような地、その場にたどり着き無事調査を終える事が出来るとは思えない
残されるのはここ
何も残ってはいないとそう判断された場所
ここにあるのはわずかな痕跡
点在する人工的な石物
地上には何も残されてはいない
ならば、と
土台と思われる場所にそって掘った地中
そこにも何も無かったと聞く
どこまでも広がる平原を目にし、深くため息が零れる
所々地面がくぼんでいるのは、地中を掘った痕跡だろう
「何かが出るとは考えがたいが………」
一人で取りかかるには広大な土地
“何か”を発見する可能性も低い場所
彼はただ、黙々と大地へと視線を向けた
 
 
 

 

 
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