(出会い SideS)
「こんなところで何をしてるの?」 担当場所となった地域の一カ所 どこまでも広がる草原 「少し遺跡の調査を」 照れたようにそう言った人は多分学者 「こんなところで?1人で?」 見る限りここには遺跡は無く 調査という割にはこの人は1人でここに居る 「ええ、まぁ」 困ったように言う姿にはどう見ても兵士には見えない 見えはしないけれど、見えないからと言って兵士ではないという話にはならない 実際にガーデンに所属するSeeDの大半はそうは見えない こっそりと警戒した筈だったのに、空気に気がついたのか慌てたように首を振る 「いえいえ、こんな所っていいますけれど、ここにはちゃと遺跡の残骸があるんですよ」 そう言って示されたのは大きな石 「石じゃない?」 「ただの石に見えるかもしれまんけれど、ちゃんと遺跡の一部なんです」 慌てたように主張するけれど、ただの石と遺跡の違いなんか解らない 「それじゃあ、調査って割に1人しかいないのは?」 「それはお金が無いからです」 何故か胸を張る姿に胡乱な目を向ける じっと見ていると困ったような顔をして 本格的に調査をするには大勢の人がいるが人を雇うにはお金がいる事 普通それだけのお金を個人が用意する事は出来ないので、スポンサーを捜す事 けれど、スポンサーになって貰うにはここで有意義な結果が出せるといった証拠を示す必要があること その為には有る程度の調査を個人で行わなければならないことなど 一般的らしい学者の事情を話し始める 「はじめから国や大企業がバックについていれば大規模な調査を行う事もできますけれどね」 そう言って肩を落とす姿に不審な所は無いけれど 「他にも遺跡は有るんじゃないの?」 ここが遺跡だと言われてもとうてい信じる事は出来ない 「有りますけどね」 既に調査が入っている場所には勝手に乱入する事は出来ない きちんとした遺跡にはその遺跡を管理する組織が有る 説明をしながら男は、遺跡だという草原に視線を落とし動き回る 時折跪き土を手にするのは確認の作業だろう 「そういうこと」 説明に不自然な所は無いように思える 本格的な調査に入る前の学者の調査がどんなものなのかは知らない じっと見ていれば何かを探し回っているようには見える 怪しい人物ではあっても、不審者だと断定は出来ない 間隔をあけて転がっている石に触れ持ち上げ、掘り起こしている ―――任務遂行の為に邪魔に成る人物では無い 熱心に穴を掘り始めた姿に声をかけ背を向け、モンスターを探し歩く 遺跡だという場所からずいぶん離れた場所でようやくモンスターの姿をとらえる まだサンプルを採取していない種類である事を確認して、倒す為に剣を構える 様子を確認し、モンスターへ向けて足を踏み出した瞬間 そう言えば、あの男はモンスターに襲われたりはしないのかと思った |