(データ SideL)
「山のようでおじゃるな」 日々届けられるデータを見オダイン博士が呟く 「世界各地からデータが集められていますから」 答えながら、採取されたサンプルを機器にセットし採取地域と名称を入力する 「これをやればいいのでおじゃるか?」 オダインの言葉にフィーニャが微かに視線を向ける 視線に気づいたオダインが動きを止め、悩むそぶりを見せる 「………そっちの分析はまかせたでおじゃる」 いつもと変わらない口調 変わらない態度で声高に言い放ち 「オダインはコレを見るでおじゃる」 モンスターの行動や特性のデータの閲覧を始める 「解りました」 フィーニャが機械を稼働させると同時に扉が開く 慌てたように室内を見渡し、オダインの元へと足早に近づく 「オダイン博士………」 「なんでおじゃる、今いいとこでおじゃる」 わめき立てるオダインに困ったように接する彼を横目にフィーニャは黙々と機械を動かす サンプルから様々な情報が読みとられる 集まった情報の切れはしの分析が始まるのと同時に、取り出された情報そのものがフィーニャの元へと流れ込んで来る これは以前からエスタに生息していたモンスターの情報 必要となる詳しいデータの分析は後 フィーニャは問題無く機械が動いている事を確認し、別の機器へとサンプルをセットする為の準備を始める 「うるさいでおじゃる、あっちの仕事を手伝うでおじゃる」 2つ目のセットが終わる頃オダインの大声が響き渡る やれやれというように肩を竦めて、博士の助手がフィーニャへと近づいてくる 「手伝うよ」 「オダイン博士に何の用事だったの?」 積み上げられたサンプルの山へ手をかける男へ礼を言い、ついでとばかりに問いかける 「ああ、たいした用事じゃない、って言いたいんだけどね」 ちらりとオダイン博士へと視線を向けてため息を吐く 彼につられるように視線を向ければオダインがちらりとこちらを向く 「軍の方から質問が来ていてね」 一瞬視線が混じり、“私”あてに通信が流れ込んでくる 「サンプルの採取に関してですか?」 「どうも収集するデータに関してみたいなんだけれど」 彼はもう一度オダインへと視線を向ける 「当分無理だね」 与えられたおもちゃ―――データに夢中になっている様子のオダイン博士を目にして大きく首を左右に振る 「私が聞いてきましょうか?オダイン博士は研究に没頭していると言えば軍の方も解ってくれるでしょうし」 「データ内容について博士に何か聞いているのかい?」 「いえ、ただSeeDと連絡を取っている際近くに」 バラムガーデンとの通信の際近くに居たことは嘘ではない 「それならちょっと行って来て貰えるかな、ここはやっておくから」 丁度手にしていたサンプルをセットすると後は任せて扉の外へと出る 軍部との連絡を取る為に歩きながら データを抽出するのに必要なデータとそれとは別に必要だとするべきデータを思い浮かべ、ついでにオダインの元へと送る 通信室の扉の前で、研究室へと届けられるサンプルとすれ違った |