英雄と情報
(空白 SideS)


 
エスタからの依頼が終了する
世界各地に飛んでいたSeeD達が次々と帰還し任務の結果を報告していく
期日まで後数日となったところで困惑したような通信が飛び込んで来るまでは順調だった
「モンスターが現れない?」
「はい、ここ数日この場で待機していますが、一度もモンスターの姿を見ていません」
旅行者が旅行の間一度もモンスターと遭遇をしなかったとか
その土地には一匹力の強いモンスターが居るため他のモンスターが近寄らないとか
そういった例外はあるけれど
街や村に近い場所ならともかく、何もないただの草原で何日もモンスターの姿を見ないなんてことはあまりあり得ない
「遭遇していないのではなく見てはいないなのかしら?」
遭遇しないと見かけなかった
似ているようだけれど意味は大きく違ってくる
見かけないというのなら、遠目にも目にすることはなかっということ
「見ていないで間違いないです」
モンスターの採取の依頼を受けてもモンスターが出現しないというのなら任務を果たす事は無理
「運が悪かったわね」
キスティスの言葉に、不満そうな顔をする
納得行かないような事があったのかしら?
「………何かあったのかしら?」
もしかしたら誰かの邪魔が入った
………そんな事が起きればもっと早く連絡が来るわね
任務の遂行に支障が出る場合は早急に連絡をすること
依頼を受ける側としては当然の仕組み
それが今まで無かったということは、そういった事態は起きてはいないということじゃないのかしら?
「その、ここで遺跡の調査をしているという人がいるのですが………」
彼女の話では、任務でその地に赴く以前から、学者の一人がその場所で事前調査を行っていたらしい
「彼もモンスターに会ってはいない?」
「話を聞いた所によるとそうみたいです」
運が良かった
その学者にしてみればそういえなくはないでしょうけれど
「無謀ね」
単独で遺跡の調査なんて、それこそモンスターに遭った時どうするつもりだったのかしら?
「それなりの準備はしていたようです」
キスティスが言いたいことは解ったのだろう、彼女もそう言って苦笑する
「話を聞いた所によると、やはりこの場所以外の地ではモンスターを見かけることがあったみたいですが、ここに来てからは一度もモンスターの姿を見ていないと」
「いつごろからそこにいるの?」
返ってきた答えは三ヶ月
それだけ長い間一度も姿を見かけてはいないというのなら、そこはモンスターが近づかない場所ということで間違いはないと思う
「遺跡跡だって言ったわね?」
キスティスの言葉に慎重に頷く
「何かがあるのかもしれないわ」
モンスターを寄せ付ける事の無い何かが遺跡の中に埋もれているのかもしれない
「どちらにしろ、任務の続行は無理ね」
モンスターが出ないのならば、モンスターの採取を行うのは当然無理
「先方にはこちらから連絡をするわ」
キスティスは彼女へ帰還命令を出した
さて、どう説明するべきかしら?
エスタへの報告内容をまとめるキスティスの元に一本の通信が入った
 
 
 
次へ その頃のラグナ