(分析 SideL)
ほの暗い空間の中で、機械が立てる音が聞こえる 隠されたいつもの場所でラグナは深く椅子に腰掛けたまま思い悩む モンスターが現れない場所 古い遺跡 転送装置の置かれていた場所 「昔からってのは考えられねぇんだよなぁ」 あの地に昔からモンスターが近づく事が制限されているのだとしたら、何らかの噂や伝承になっていてもおかしくない 人が滅多に立ち入らない場所 そうは言っても、たどり着くのが困難な場所にある訳でも危険な場所にある訳でも無い 人があの辺りに行くことは多くはないが確実に有る 誰かが気付かない筈がない 噂にならない筈がない そして 「それほど好都合な場所は無いさ」 決してモンスターに襲われない場所 そんな場所に町が出来ない筈が無い そう考えれば、あの場所が以前からモンスター避けの力を持っていたというのは考え難い とは言っても、何も無い訳じゃないだろうな 何らかの仕掛けは働いている 「アイツらがそれを見つけだせれば良いんだろうが」 いくら常識の欠けたオダインのやる事だといえ、それで押し切れるのは数日、どうがんばったところで一週間が限度だ その短い期間で地面を掘り起こして目的のもの見つけだすのは難しい 「秘密兵器はいるけどな」 フィーニャの“目”と“耳”が稼働する機械をとらえる事が出来れば時間の短縮にはなる 「情報が足りないな」 モンスターが近づかなくなる その状況を作り出したのは誰なのか 目的は何なのか たとえ仕組みを見つけだしたとしても情報が足りない 「判明している施設の位置と情報を出せるか?」 ラグナの声に従い空中に地図が示される 発見された幾つもの施設 隠匿された情報 「現在解っている状況は?」 稼働中のもの 休止・停止状態のもの 損壊したもの 消失しているもの 表示されるものの中には関連づいて動いていた物も勿論ある 「セントラの施設はどれだ?」 ラグナの声に会わせて一部の印が変化する 「………わからねぇな」 しばらく見つめも施設の位置に関連性は見えない 見つかっていない施設がある可能性もゼロじゃない 「報告を待つしかないか?」 何かが見つかればすぐに報告が来るはずだ 実際に調査に当たるにはいろいろと面倒な事になりそうだが その辺りは上手い具合に処理するだろう 「今はやれる事からやるしかねぇな」 収集したモンスターの分析 フィーニャがデータとして所持しているあの当時のモンスター それから現在地表に生息するモンスターのデータ 月の涙で落ちてきたモンスターのデータ もう一つ、それほど遠くは無い過去の生き物 「引き続き分析を頼む」 ラグナの言葉に、機器に様々な光が点る 耳に聞こえる機械の音 「面倒な結果が出なければいいんだけどな」 そろそろ時間か 側に置いた時計に目を向けラグナはゆっくりと立ち上がる 音も立てずに扉が開き閉じた後も止まる事の無い機械音が続いた |