英雄と敵
(依頼 SideS)


 
ガルバディア北西部の山が崩れ落ちた
崩れ落ちた山の中から塔のようなものが現れた
伝えられたニュースは瞬く間に世界に広まり
驚きと共にさまざまな憶測を呼んだ

「ガルバディアの例の場所の調査依頼よ」
キスティスに呼ばれ告げられた依頼
「例のって、あの山のことか?」
先日ニュースになったガルバディア北部の山
「なんの変哲もない山だと思ったんだけどな」
腕を組みながら言うゼルの言葉には全面的に賛成だ
何度か見た事があるが、あれは、さほど大きくは無いただの山にしか見えなかった
「まさかあんなのが埋まってるなんてねぇ」
塔、に見える建造物
山―――土が崩れ落ちた後に出現した建造物
「あれって、山の中に埋まってたってことだよね」
「だろ、まだ半分くらいは埋もれてそうだって話しだしな」
相変わらず、どこから情報を仕入れてくるのかゼルが知識を披露する
「………それで、具体的には何をするんだ?」
どこまでも脱線していきそうな話に見切りをつけ、スコールはキスティスへと確認する
「安全の確認と確保ね」
現場を調査したいという要望に応えるための事前調査
「それ、なんでガルバディア軍がやらへんの?」
確かに、セルフィの言うとおりだ
ガルバディアには、実力を備えた軍がある
現地の調査はもちろん、モンスターの討伐も問題なく行えるはずだ
「それは確かにその通りなんだけど」
キスティスがあいまいな笑みを浮かべる
なにか理由があるってことか?
口をとざそうとするキスティスに、しつこい程の質問が浴びせられる
「何がおきるか判らないから、行かせたくないそうよ」
「あー、崩れたんだもんな」
突如として崩れ落ちた山
流れた土の量は多く幾つか被害が出たと言う話だ
「不用意に近づけばまた崩れるかも知れないってことだよね」
セルフィの言葉に皆が一様に黙り、キスティスへと視線を向ける
行くこと自体が危険な場所の調査依頼を受けたのか
「………誰が行くんだ?」
キスティスが誰かの名前を告げようと口を開きかけ、そのまま口をつぐんだ
 

 
 
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