英雄と敵
(実物 SideS)


 
「あれがそうね」
かつて山の姿が見えていただろう位置に見える塔、のようなもの
遠目だはあるけれど、建造物には窓も入り口も見当たらない
とは言っても、土の中に埋もれていたせいか、土を纏った姿では、何もわからないのだけれど
まずは村人に話を聞かないといけないわ
キスティスは一番近くにあるという村へと足を向ける
依頼の内容は、安全の確認と確保
村にはすでに気の早い学者達が集まってきているという
彼等が不用意に山へと近づかないようにすることも依頼の内容に含まれている
「あなた達は村人から詳しい話を聞いて頂戴」
共に任務を遂行するSeeDたちへとキスティスは声をかける
仕事自体は難しくないわ
ただ、危険性は高そうなのよね
ここに来る前に話を聞いた“ガルバディア政府”では、まだ山崩れは収まってはおらず、にも関わらず野心と共にこの地を訪れ者達は一刻も早く調査を開始することを望んで、暴動寸前だということ
数日前、この依頼を受けたことを話した際の友人達の反応が思い出される
………確かに難しい依頼になるかもしれないわ
とりあえずは暴動を抑えること
その点に関しては心配は無いはずよ
こっそり抜け出すものが居ないかが問題ではあるけれど
キスティスは通りを歩きながら、彼らが持ち込んだのだろう様々な機材へと視線を送る
調査するのに手ぶらで向かうことは無いはずだわ
こっそり村を出るにしても、荷物がある限り行動は狭められる
問題はやっぱり安全の確保ね
依頼内容に安全の確保が含まれている以上、あの場所が安全に調査できない限り依頼を達成したことにはならない
「まだ埋まっているみたいなのも問題だわ」
ガルバディア政府の責任者との話から推測すると、あの場所何らかの形で利用しようと考えている
安全が確認されたとしても、調査が出来ない状態なら、依頼達成とは認めない可能性もあるわ
………ゼルが言うように受けるのは早まったかしら?
キスティスは土を纏った塔を見上げる
空からなら行けそうね
地面から近づくことは確かに難しそうだけど、空からなら当の近くによることが出来る
何とかなるかも知れないわ
空から近づく手段を考えながらキスティスは村長のもとへと急いだ
 
 
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