英雄と敵
(放置 SideL)


 
フィーニャから送られた情報
現地に居る諜報員から送られてくる情報
「知りえる限りあそこは山だった、か」
エスタのメインコンピュータが記憶していた情報はどこまで遡ってもあの位置が山であったと記録している
残されているセントラのコンピュータ達も同様の情報を持っている
っていうことは、必然的にあの建物はそれよりも古い時代のものだということになる
きっと遙か昔の遺物
だが、問題はそこじゃない
問題になるのは、あれは誰の手によって作られたものなのか
そして、あれは誰が埋めたのか
必要な情報はまずはその部分
あれがどんな施設で何の役割を持っているのかはその後だ
だが、現状その情報を入手する事は難しい
存在する事を知らないということは
知りうる限り記録は残っては居ない
「材質でも調べてみるか」
建造物の材質、構造を調査すれば、いつの時代のものか位は判明するだろう
「ただ、問題はガルバディアだったことなんだよなぁ」
ラグナはソファーへと深く身体を預ける
あそこがエスタの人間を気軽に受け入れるとは思えない
そして、あの“塔”の情報は外部に漏れない様隠匿しようとするだろう
まぁ、その辺りは情報さえ存在すれば、いくらでも手に入れる手段はあるけどな
それもガルバディアが情報を掴む事が前提だ
状況を見るに、“塔”へと人が近づくのは難しいだろう
そして
真にあの場所が古い物だとしたら、調査は難航するだろう
………十中八九古い物で在る事は間違いないけどな
どちらにしろ今の所はどうしようも無い
「ま、保留だな」
このまま待ったところで、あの場所の情報を手に入れるには時間が必要だろう
あそこがいったい何なのか
どんな情報が眠っているのか
とても気にはなるが、今は仕方が無い
そのうち、あの状況が収まれば調べる手段も出てくるはずだ
今はまだ、いつの、誰が用意した物か解らない物よりも、他に優先すべきことがあるしな
ラグナは眼を閉じ、疲れたように息を吐いた

ガルバディアに出現した“塔”
研究者達の中にはその存在を気にしているも居るようだが、大部分はその存在を意識の外に置いている
………とは言っても、“塔”の様子は毎日の様に情報として入手する事を忘れては居ない
映し出された今日の映像
昨日よりも見えやすくなった様に思える塔の姿の他に
近隣にあるらしい村の様子が映し出される
一見して村人では無いと解る学者や研究者達の姿
彼等の姿に同僚達は一瞬視線を向け、すぐに興味を無くす
興味を引くほどの実力の主が居なかったという事でしょうね
フィーニャ自身は科学者や歴史学者にどんな人物が居るのか等知らない
優秀な人物が居れば彼等の反応が違う
特に何の反応を示さなかった所を見れば、気にするような人物は居ないということ
………当然ですね
優秀な人物だと言うならば、あの様に危険な場所へと今の段階で近づく事は誰かが止めるでしょう
だれもとめず、むしろ率先して送り出したと言うのなら今のところさほど重要視されている人物ではない
実力者が潜んでいる可能性はあるでしょうが
その可能性は低く、彼等が重要な手がかりを見つける事は無い
映し出される映像が見知った姿を映し出す
声を上げ山の方向を示す者を押しとどめる姿
あれは
「SeeDですね」
フィーニャの言葉に何人かが、同意する
彼女に対する様々な言葉が交わされる中
フィーニャは一人彼女の姿へと視線を向ける
あんなところに、何の仕事でしょう
ただ、人々を留める為にいるというのならば、それはガルバディア軍で対処可能なはず
彼女達の動きにも注意を払う必要がありそうですね
フィーニャはその様子を頭の片隅に留めながらも今は彼女達の様子を見ることとした

 
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