英雄と敵
(秘密)
「ガルバディアの奴らと話をして来てくれ」
どの場所で何を行うのか
ガルバディア主導で行われている調査では、私達は自由に動くことは出来ない
どこで何を行うのか
立ち入りが出来るのはどの場所なのか
1日の初めに彼等の元へ出向き確認する必要がある
―――初めだけではなく、その時々で指示を仰ぐ必要がある
そのたびに新人の私が聞きに行く事になっている
役割分担が決まったわけでは無いが、何時の間にか自分の役目になっていた
「おはようございます………」
塔の入り口に集まっていたガルバディア側の調査員へと声を掛ける
「ああ」
彼等の中からかつての友人が顔をだす
「今日の予定だが………」
告げられた内容をメモし、簡単に言葉を交わして別れ、仕事仲間の元へと戻る
それぞれが話をしながら、様々な機械を準備している
一人が手にした長い棒が振り回される
オダイン博士ほどでは無いが、少し癖のあるメンバーが揃っている
近づくことに躊躇いを感じながら彼等の傍へと歩み寄る
「今日の予定ですが………」
聞いているのか分からないが、伝えるべきことを伝えた
「―――っ!」
息が止まる
塔へ調査に訪れてから体験した何度目かの攻撃
幸いにしてまだ一度も攻撃が当たったことは無い
仕事仲間達は
よくあること、と飄々としているが、そのうち大怪我をするんじゃ無いかと恐れている
「今のは危なかったな」
私の肩を叩いて、仕事仲間が通り過ぎる
迷いの無い足取りに息を呑む
攻撃が―――
思わず身構えたが攻撃はされなかった
されなかったが、護衛に当たっていたSeeDが私を押しのけて中へと入る
「勝手に行動しないでくださいっ」
怒鳴り声と繰り返される攻防
人を変えて繰り返される光景にため息が出る
今はたまたま怪我を負うようなことにはなっていないが、いつ怪我をしても可笑しくない
いや、命の危険も………
SeeD達が私達の周りを囲んだ
エスタから荷物が届けられた
身の安全を守るための武器、防具
それから、調査を行うための装置
そして
「試して欲しいそうだ」
小型の機械を手渡す
「解析した結果作ったものだそうだ」
“彼”が持つペンダントの情報を解析したもの
「効果があれば良いんだが………」
情報の中に“塔”に協力者だと判断させる要素が組み込まれていれば直接的な攻撃はされない
そうであることを祈り開発されたもの
当然この機械のことは“彼”には秘密だ
「攻撃の基準も判明できれば良いんだがな………」
「それは、これが期待通りの動きをしてからだ」
そうして使われたその機械はそれなりの成果を挙げた
次のラグナサイドへ 次のスコールサイドへ
|