英雄と敵
(策略)
エスタ本国と相変わらずのやり取りを繰り返す
発見した―――ということにしている―――成果の報告
判明した“塔”の様子
ガルバディアとも協議している内容
………それにほんの僅かな推測を交えたもの
ガルバディア側の見張りがついている中での報告はただのパフォーマンス
実際の報告はこっそりを行われている
「そういえば、弾薬をもう少し増やせないか?」
ふと思いついた
そんな風に見えるように要望をにじませる
画面の向こう側で渋る相手に身の安全のためだと言葉を重ね説得する
………そう見えることを祈って演技をする
頃合を見て、向こう側がしぶしぶ承諾する
それに大げさなほどの感謝を述べて………ついでとばかりに次々と要望を連ねる
当然それらの要望は通らない
悪態と感謝の言葉をそれぞれ告げて通信を完了した
気づかれないよう目配せを交わす
少しずつ準備を進めて仕掛けはある程度整った
先日エスタから届けられた弾薬―――景気良く爆弾が混ざっていた―――はSeeD達が見ている中で保険として振り分けている
こっそりと取り外した防衛システムは、上手い具合にいじって設置しなおした
計画を実行するため違和感を抱かれないよう少しづつ行動を続け、最近では私達がそれぞればらばらな行動をとっていても誰も不思議に思わなくなった
一部ではガルバディアの調査員との交流が進められている
彼らを通してすでに幾つかの布石は打っている
………目に見えて先導する訳には行かないから、実際の実行が何時になるかが分からないのが問題だが
ずっと気を張ったままでいるのは当然不可能だ
仕掛けの範囲内に誰かがいるよう調整を行う
気づかれないように、交代を行っている
幸い、私達が頻繁に場所を移動することも彼らは当たり前のことと認識してくれている
密かにその時を待った
強い攻撃に悲鳴を上げ
持っていた武器を取り落とす
勢いをつけて床に叩きつけられたソレが作動する
辺りに響く爆発音
強い衝撃と炎
SeeDが声を上げ、駆け寄ってくる
連鎖的に爆発する床を見つめる俺をSeeDが抱えるようにして移動させる
「大丈夫ですか?」
怪我が無いかと確認する彼に生返事をしながら、問題の床を見つめる
辺りに立ち込めていた煙が収まってくる
仲間達がそれらしい事を言いながら集まってくる
人々の視線が集まる中見えてきた光景
「おおっ!!」
あちらこちらから声が上がる
上げそうになった歓声を無理に押さえ込む
床には大きく開いた穴
分厚い床板の下に広い空間が開けていた
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