英雄と敵
(結論 SideL)


 
こちらには落ち度は無いからこその、やんわりとした抗議を受けた
実際は計算された故意の結果
今まで起動しなかったため見逃していたという防御装置はこっそりと設置した偽者
………本物も混ざっていたらしいけどな
反撃の体裁をとった攻撃は上手く床をぶち抜いたらしい
下が無い可能性も当然あったが、運が味方したのか破壊された床の向こうには下の階が現れた
ついでに機械の一部も破壊し、一部機械が停止したらしい
「変装して向かわれますか?」
以前聞いた言葉
「危険は無いんだったか?」
「危険の軽減は出来たと思われます」
軽減ってことは反対されるよなぁ
だれか連れて行くっていう手もあるかも知れないが
「あの塔が軍事拠点の可能性は潰えました」
発見されたフロア
その場に残された機械の数々
上階とは違い、機械と共に椅子や机など人が居ることを前提とした家具が置かれていた
「生産設備でもないんだろ」
自棄になったのか更に床を剥がした結果、それより下の階はどうやら無いらしい
「ええ、現在何が行われていたのか分析が進められているようですが」
フィーニャには覚えがあった幾つかの機械
かつて行っていた情報のやり取り
重要拠点へ向けた通信の中継
決して同じものでは無い
けれど、似通った所がある
残されてたものは、セントラのものではない
けれど、かつて………
ずっと遠い昔、始まりは同じだったはずだった技術
似通った部分があっておかしくはない
見慣れているはずのフィーニャが断言するのならば、確認は必要だろうが、担っている役割は十中八九間違いないんだろう
「極秘で通信内容と通信先の解析を進めております」
調査の主導権はガルバディアにある
共同で調査をする権利を得てはいるが、こっちの思い通りに調査をすることは出来ない
彼らは、“何時の時代”のもので“どういった役割をするのか”を重点的に調査している
協力してもらえれば楽だろうが、調査内容を知れれても困るからな
派遣した調査員のごく一部が他の奴らに気づかれないように調査を進めている
「なぜ動き出したのか、どうして止まったのかも知りたいよな」
何らかの信号を受けて動き出したのは確実だろう
順調に動き出した装置が何をきっかけに止まったのか
「そうですね、“塔”のシステムは生きていましたから、停止したのは他の要因があるかと思います」
新たに発見された機械で、システムを停止することが出来たと報告を受けている
停止したのなら、それまでは動いていたってことだ
データを集めるには、動かす必要があるため、起動停止は頻繁に繰り返されているようだ
当然、勝手に稼動させる訳には行かないみたいだけどな
目を盗んで必要なデータを集めることは出来る
「すでに幾つかの推測はなされています」
「………そうだな」
起動と停止がなぜ行われたのかはわからない
だが………
きっと空にあるだろう月を思い浮かべた
 
 
 
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