英雄と敵
(結末)


 
塔に関する報告書を作成する
収集された情報
ここはセントラが作成した施設では無いことは明らか
しかし、残念ながらここは重要施設では無かった
いや、役割自体は重大だった
ここは施設と施設を繋ぐための中継地点
情報はここには留まらず、その先へと送られていくからだろう、期待したような情報の入手は出来なかった
だが、重要な情報の入手はできた
矛盾するかも知れないが
この情報は直接的な物ではなく
情報の向かう先
情報が送られて来た先
つまりは、他の施設の場所
集められるだけの情報は集めた
気づかれないようデータをコピーし、解析が始まっている
一番新しいデータ―――これが元で塔が動き出した―――の解析は終わっている
当然、ガルバディアには情報を渡していない
データがあること自体は隠してはいない
彼らは彼らで、解析を進めるだろう
―――それがいつになるかは分からないが―――
表向きの報告書が出来上がる
他の者達もそれぞれ当たり障りのない報告書を挙げているだろう
私達が頼まれた仕事は終わった
この情報をどう活用し、この情報を元に何を行うのかは国の仕事であり、国の判断だ

別れの言葉を交わす
長い時間共に居た彼らとはそれなりの交流があった
「どこかで会ったときはよろしくな」
「ああ、また今度会えることを楽しみにしてる」
あちらこちらで交わされる会話
お互いに隠し事はあるが、穏やかに別れの挨拶を済ます
ふと、背後にある“塔”を見上げる
半ば土に埋もれたその姿はどこか寂しげに映った


 

 
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