ハードロックにチャレンジ？

　１９８１年発売のＴＯＴＯのサード・アルバム。セールス的にはイマイチで、ファンの間でも評価の割れるアルバムですが、前作までのアルバムよりギターのエッジを効かせたヘヴィなサウンドになっていて、ＡＯＲが苦手なロックファンには向いていると思います。『リヴ・フォー・トゥデイ』『グッドバイ・エリノア』などを収録。

　前作までのスケールの大きいプログレッシブロックのような派手な曲は少なく、スティーブ・ルカサーのギターのリフを中心にしたストレートでヘヴィな曲が多くなっています。このアルバムが発売された８０年代初頭と言えばヘヴィメタル・ブームもあって、アメリカではヴァン・ヘイレンのギタリストであるエディ・ヴァン・ヘイレンがスーパーギタリストとして注目されていたので、スティーブ・ルカサーとしてはライバル意識も強く、ヘヴィなサウンドに挑戦したのかもしれません。特に『グッドバイ・エリノア』ではアームを多用するなど、『俺はハードロック系のギタリストにも負けないぞ！』というスティーブ・ルカサーの自己主張が伝わってきます。ドラマーのジェフ・ポーカロのドラミングも、洗練されたセンスは感じられるものの、前作までとは違ってパワフルでラフなプレイに徹しています。ハードロック系のサウンドが好きなロックファンで、ＴＯＴＯのファースト、セカンドアルバムが苦手でも、このアルバムは聴きやすいと思います。しかし、ＡＯＲ、フュージョン、プログレッシブ系のサウンドこそがＴＯＴＯの本来の持ち味だと感じているファンにとっては、納得がいかないアルバムだと思います。実際のところ、このアルバムで一番ＴＯＴＯらしい自然な仕上がりになっている『リヴ・フォー・トゥデイ』では、力まずに自然体で演奏しているからこそ完全な演奏になっていますが、他のヘヴィな曲では、優等生が不良ぶっているような、ちょっと違和感のあるハードロックになっています。

　  　

 

■　グッドバイ・エリノア　■

この曲のＰＶは日本でもよくオンエアされていました。スタジオライブ風のＰＶでは、メンバーがハードロックバンドのように興奮して、演奏が終わると、すっかり興奮したジェフ・ポーカロがスティックを投げ飛ばしてドラムセットを離れるシーンが印象的でした。

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リマスターＣＤがベスト！

　グラミー賞を受賞した名盤『聖なる剣』などはレコーディングの音質も最高ですが、このアルバムはスタジオライブを意識したラフな音でレコーディングされているので、『聖なる剣』のような音質は期待しないでください。特に８０年代に発売された音質はアナログ盤より格段悪いので、リマスター盤での入手がオススメです。アナログプレイヤーを持っている方は、スタジオライブ風の生々しいサウンドをアナログ盤で楽しむという手もありますが、ＣＤプレイヤーしか持っていない方は、リマスターされていないＣＤで聴くと、音質的にはかなりガッカリすると思います。

 

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