温泉名 | おんねとーおんせん オンネトー温泉 |
施設名 | おんねとーゆのたき オンネトー湯の滝 |
所在地 | ほっかいどうあしょろぐんあしょろちょうかみらわん 北海道足寄郡足寄町上螺湾 |
場所概略 | 足寄市街地より国道241号線を東へ行く。雌阿寒温泉方面の道を行く。オンネトー湖の脇を通り、広い駐車スペースへ車を停める。そこから「湯の滝入口」とある遊歩道をまっすぐに行き、滝が見えたら上る。 |
駐車場 | 駐車スペースあり。100台くらい停められる。無料。 |
営業時間 | 24時間 年中無休 |
料金 | \0 |
風呂数 | 混浴露天風呂1 |
脱衣所 | 男女共用1 |
泉質 | 単純温泉? |
湯色 | 無色透明 |
問合せ先 | 01562-5-2141 |
入湯日 | 2002/9/5 |
感想 | すばらしい。自然の景色の中で入浴できる場所といった感じ。お湯はぬるめで、長時間浸かれる。カップルが2組入ってきた。 |
評価 | 5 |
オンネトー温泉は、私が「一人旅 −北海道へ−」編で27番目に行った温泉です。そして、25番目に入った温泉です。
オンネトー温泉は足寄町の北東、雌阿寒岳の西にあります。
オンネトー温泉に行くには、北海道ちほく高原鉄道 ふるさと銀河線の足寄駅より国道241号線を北東へ進みます。約43km行くと雌阿寒温泉の看板が見えてくるので、そこを右折します。ちょっとした山道になりますが、上り坂を上っていくと雌阿寒温泉に着くことができます。その雌阿寒温泉を通過します。
さらに上に行くとオンネトー温泉に着くことができるのですが、私は雌阿寒温泉の国民宿舎 野中温泉(野中温泉ユースホステル)からの出発だったので、そこからの行程を記したいと思います。
私がオンネトー温泉に行ったのは早朝でした。朝の5時に起床して眠い目をこすりながら、でも好奇心をいっぱいにして国民宿舎 野中温泉を出発しました。
雌阿寒温泉よりさらに上っていくとオンネトー湖が左側に見えてきます。オンネトーとはアイヌ語で「老いた湖」という意味だそうです。朝もやがかかっていてあまりよく見えなかったのですが、きれいな湖だそうです。
朝もやがかかっていたのと、まったく知らない土地だったので、私はゆっくりと車を運転していました。すると、車道に居座っている動物がいました。エゾシカでした。おっ、珍しい!と思い、記念に写真まで撮ってしまいました。でもあとになってわかったのですが、エゾシカは北海道では簡単に見ることができるみたいです。北海道に初めて来た私には珍しかったので、見ることができてうれしかったです。
エゾシカです。
哺乳綱偶蹄目シカ科
ちなみに、写真のエゾシカはメスです。オスには立派な角が生えています。あと、夏は茶色、冬になると灰褐色の毛が生えるので、夏に撮った写真だということがわかります。
そんな偶然の出合いに喜びながら、私は湖畔に広い駐車場に車を停めました。国民宿舎 野中温泉のご主人が言ったとおりにちゃんと広い駐車場がありました。ご丁寧な説明ありがとうございます。m(_ _)m
駐車場からは歩いていくことになります。駐車場の奥に「湯の滝入口」と書いてあるゲートがあります。そのゲートをくぐり、森林の中を歩いていくとオンネトー温泉 オンネトー湯の滝に着くことができます。私はゲートをくぐり、オンネトー温泉へと向かいました。
ゲートの近くには「どのようにしてマンガンの鉱物ができるのか」について、北海道大学理学部と通商産業省(現在は経済産業省)工業技術院(現在は産業技術総合研究所)地質調査所が研究を進めているということが書いてある看板がありました。湯の滝では、世界的に珍しい「マンガン鉱物の生成」が見られているそうです。なんだか難しそうな研究をしているんだなあと思いました。それとともに、そんな自然の神秘的な場所の温泉に入ることができるといううれしさがこみ上げてきました。
このマンガン鉱物の生成というのは二酸化マンガンのことです。二酸化マンガンというのは、海底もしくは大昔に海底だった地層の中からしか発見されていませんでした。しかし、オンネトー湯の滝という地上の場所で発見され、かつ現在も生成されているということでオンネトー湯の滝が注目されたのです。
普通、二酸化マンガンというのは、化学的にはpH(ペーハー)値が10以上の強アルカリ性で酸素ガスが存在すると黒い二酸化マンガンの沈殿になります。しかし、湧き出ている温泉水は酸素ガスが溶けてなくpH値が6の弱酸性だったのです。つまり、化学的に二酸化マンガンの生成理由が立証できなかったのです。そのときに、産業技術総合研究所の研究員が、特殊な微生物が鉱物を作っている可能性がある、という仮説をたてて、滝に生息している「マンガン酸化細菌」を発見したのです。この滝で二酸化マンガンを作っていたのは微生物たちだったのです。このことがオンネトー湯の滝を天然記念物にした出来事だったのです。
今では世界的にも唯一、陸上で観測できる二酸化マンガンの生成場所として注目されています。
当時の私は、そんなことつゆ知らずといった感じで森林の道を歩いていました。道は急勾配もなく、ちょっと起伏はあるものの苦労はしませんでした。森林の中を歩くと気分が爽快になるなあと感じながら山道を歩くことができました。約20分歩くとオンネトー湯の滝に着くことができました。
オンネトー湯の滝の手前にはミニビジターセンターという建物がありました。このセンターにはマンガン酸化物の研究についての歴史が掲示されていました。いろいろと見てみたのですが、当時の私はあまり興味がなかったので、というより温泉のほうに早く入りたい!という気持ちが強かったので、一通り見てすぐに滝のほうへと向かいました。
滝は2条になっていました。上段と下段の間に露天風呂がありました。一番下の滝つぼには魚が泳いでいました。テラピアという魚だそうです。以前はこの一番下の滝つぼで入浴できたそうです。しかし、微生物がマンガン酸化物を生成する現象が発見されたために、その微生物を保護するということで入浴禁止になったそうです。入浴禁止になったために別に浴槽が造られたのが、上段と中段にある露天風呂なのです。私が今まさに向かおうとしているのが、その露天風呂になります。
オンネトー湯の滝 下が滝つぼになります。
以前はここが浴槽でした。
私が入った場所は写真上部にある浴槽です。
滝の脇には上に行くための道がありました。その道を上ると脱衣所と浴槽が見えました。私が入るときにはすでにカップルが入浴していました。こんな朝早くにどんなカップルが来ているんだろうと思って見てみると、あれっ、見たことがある人だ! そういえば男性の方は、私が雌阿寒温泉 野中温泉別舘の露天風呂で一緒に入っていた人だということに気づきました。こんな朝早くにカップルで来るなんて、温泉が好きなんだなあと思いました。そうすると親近感が湧いてきました。
右が男女共用の脱衣所です。
左が石で造られた浴槽です。
カップルを待っていてもどれくらい入浴しているかわからないので、私は脱衣所で服を脱ぎ、浴槽へと足を向けました。
浴槽は円形の形をしていました。石とコンクリートで造られた簡単な浴槽でした。でも、そんな浴槽が自然と調和していて、シンプルでいいなあと思いました。こんなところで立派な浴槽は似合いません。これで充分です。すばらしい! 大きさは直径7mくらいの大きさでした。そして、中心には円形の台があり、その上には石が積まれていました。
中心の円形の台でカップルの顔が直接見えないように配慮して、カップルとは対面の位置に、私は浴槽に身を沈めました。入浴したとたん、私は感じました。お湯がぬるい!!(*_*) 冬に入浴できる温度ではありません。夏にしか入れない場所だと思いました。でも、私が入ったのは夏です。そして、まだ朝の6時です。時間はたっぷりあります。長湯するには最高の場所だと思いました。
浴槽からは滝を見ることができました。滝の水量はそんなになかったのですが、滝の岩肌が黒かったのが印象的でした。あとでわかったのですが、この黒いのがマンガン酸化物だったのです。
お湯は無色透明でした。泉質は、なめてもしょっぱくなかったのでナトリウム−塩化物泉ではないなあと感じました。でも、よくわかりませんでした。単純泉なのかな。
かなり長い時間に入っていました。旅行記録表を見ると、行き帰りの徒歩の時間を差し引いても1時間くらい入っていたみたいです。それだけお湯の温度がぬるかったことと、入っていながら自然の景色を楽しめたことが、私を長時間入浴させていたのだと思います。
最初に出会ったカップルがあがり、別のカップルが入ってきました。そのカップルは若いカップルでした。でも、私という存在をまったく無視して入ってきました。う〜ん、私の存在って・・・? それとも北海道という場所が人々を開放的にさせるのでしょうか。そんなことを思いながら、だらだらと入ってました。
あまりにも会話がなかったので何か話そうかなと思い、私は若いカップルの男性の方に「どちらから来たのですか。」と聞きました。すると男性はライダーハウスからバイクで来たと答えました。女性を後ろに乗せて来たみたいでした。こんな場所に入ってくる女性もいるんだなあと思いました。
あまりだらだらと入って、カップルの時間を邪魔しちゃいけないと思ったので、私は浴槽を出ることにしました。
自然の中での温泉を楽しむことができてよかったです。
このような無料の温泉施設がいつまでもあって欲しい、と思っていたのですが、この浴槽に湯を引き湯することが原因で、下流でのマンガン酸化物を生成する現象に影響があることが判明したので、2005年にこの浴槽での入浴ができなくなってしまいました。今は浴槽だけが残っている状態だそうです。
ちょっと残念です。(T_T)