検査省力化のアプローチ

 検査部門は製品、半製品、部品などの合否の判定を行う部門であるとされ、製造部門とは別の独立した組織として設置されていることが多い。
 この場合----

@検査で品質は作れない。品質は製造工程で作りこまれるべきものである。検査を厳重にしても、製品の品質はよくならない。

A検査部門で全数検査を行なうとすれば、膨大な人員が必要になる。

(例)ある工場では、部品と製品の全数検査を行っているため、全従業員の半数の人が検査の人員である。こんなことはないでしょうか。

B製造部門と検査部門がハッキリと一線が引かれている工場では、製造部門が「防衛検査」(製造部門で検査部門と同じような検査な行なうことをいう)を行ない、検査に製品を送るまでに選別していることがある。これとは逆に「どうせ検査部門が検査するんだ。」ということでなげやりな態度が製造部門にあることもある。

 これからの検査部門のあり方はサンプリングによる合否判定と、品質保証体系(内部的には品質管理体系)の立案、チェックを任務とし、これまでの選別作業は製造部門に移管する。
 製造部門はこれまでの検査といわれていた選別作業を製造工程の一部と考え、これにより工程の管理が十分行われているかどうかを、自らの手でチェックし、品質の安定化を進める。

 製品品質が安定化するとともに、全数、全特性のチェックから、サンプリング検査、一部特性のチェックを代用特性とかへの、緩和検査へと進みます。
 経験によれば、これまでの検査部門から前述の選別作業を製造部門に移管した直後は、一時的には製品のチェックの仕事量は増加したが、その後仕事量は、急速に減少した。検査は工程で、それも全数工程内での検査化に向けて知恵と工夫が必要です。
 「検査部門省力化のアプローチ」は、三権分立(立法、司法、行政)という古い検査や、全数選別作業を含めた検査から、科学的な検査へと進み、その結果として省力化を生みだすことをいう。

検査部門省力化の意義
  検査部門省力化の意義は、単に間接労務費の削減という意義に留まるものではない。この意義は、その過程が、すなわち省力化への活動が、全社の「品質保証体系」に大きく寄与するということである。適切な検査部門の省力化活動は、検査部門の使命である、品質保証と相反するものではなく、逆に省力化活動によって品質保証が推し進められるのである。

 つまり、これまでの検査は、選別、調整、手直し、補修など、いや再検査、再々検査というものを人海戦術で行い、これで、次工程やお客様に対して、品質保証をおこなうということで保証をやっていて、肝心の工程や製品の品質安定化の努力は、なおざれにされがちであったのではないでしょうか。

基本的な考え方

検査部門が100%検査しなければならない、まれな場合は次のような場合である。

@製品の初期または、製造か極度に制限(時間的または条件的に)されている場合---新製品とか限られた数のものの製造の場合。

A要求が非常に厳格で、全数検査を必要とする場合。---たとえば不良が人に危害を及ぼすことのあるもの製造の場合。

B製品を合格水準にするために、不良品を連続的に選別することが必要な場合。

 検査部門が100%検査しなければならない場合を除いては、製造部門で品質は造り込むという考えから、出来るだけ早く選別検査を止める改善が必要である。
 現実は“クレームは検査部門の人手をふやす”というが、クレームごときに人手をふやす安易な道を選んでいるのではなかろうか。 

 手 順  「検査部門省力化へのフプローチ」の手順は次の4つに分けられる。 

@工程の管理を望ましい状態にする。

Aこれまでの検査部門が担当している選別検査の実施を製造部門に移管する。

B選別作業の省略化と簡素化を図る。

C品質保証体系へとすすむ。