(波乱 αSide)
「面倒な事態になったみたいだね」 彼等の様子を見守り、判明した状況は確かに面倒の一言に尽きる 状況を簡単に説明するなら、“内部分裂” その一言に集約されるが、そう単純にもいかないみたいだ 「あいつらが、あそこの人達を利用していたって事なのか?」 自分達が世界を征服する為の捨てごま 陶酔した表情で、銃を突きつけながら勝ち誇った様に吐き捨てられた言葉 「んー、そうみたいだね」 近所のおばちゃんやおじさん そう言った雰囲気の人達が絶句し、そして形相を変え彼等をののしり始める 「……利用された方にも、それなりの罪はあるんだよね」 その光景を呆然と見つめるゼルへ、アーヴァインが淡々と語る 「それに、今までの行為は、彼等の仕業でもあるんだろ?」 今こんな風に反乱が起きたって事は、ソレまではお互い上手くやっていたって事だし 「世界に脅迫状を突きつけたのも、エスタとガーデンに攻撃を仕掛けたのも」 もし、あの時点で彼等の意に添わない事だったりしたら、今よりももっと前に衝突が起きていた筈だよ 「………仲良くやってたんだよな」 様子を探り、見張っていた間はトラブルを関知したことが無い ゼルが大きく深呼吸をする 「ここにいるのは、俺達に取っては“敵”なんだよな?」 自分に言い聞かせている様な確認の言葉 「そうだよ」 励ましでも、後押しでも無く、僕が言ったのは“真実” どんな理由があったとしても、どんな背景があったとしても 彼等全員が敵である事には代わりが無い 彼等に取っても、僕たちは侵入者で倒さなければならない敵になるはずだから 「もう少し待った方が良いよな?」 状況を冷静に判断しはじめたゼルの言葉 「そうだね、今のままじゃ僕たちが不利だもんね」 もう少し状況が変わるまで 望むならば、彼等が彼等の自由を奪うまでは…… 視線の先で、1人ずつ引き離され、手足を縛られ行動の自由が奪われていく
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