■庄内の釣り<船釣り編>

庄内発"船釣り"ということで、当面の間魚信が執筆し掲載された雑誌等の内容をメインに、釣りの醍醐味を紹介してゆきたいと思います。また、磯に限らず様々なフィールドでのレポートも随時お待ちしております。


Volume.03 庄内近海のハナダイ釣り(釣り東北連載より...一部変更・加筆あり)

How to.1〜基本的な釣り方〜

チダイ(標準和名)は、庄内ではハナダイと呼ばれ、同地では船釣りの人気対象魚。姿形はマダイとそっくりであるため、見慣れないと判別が難しいが、簡単に見分ける方法としては尾ヒレの縁(フチ)が黒くなっているのがマダイで、黒くないのがハナダイである。また、ハナダイはマダイと比ベ(同サイズとして見た場合)、体高がやや高く、目の玉における黒い部分も大きく、背ビレの一部も長目であるなどの特微が挙げられる。金長においては最大でも40cm程度と、マダイ程は大きくならないが、その姿形と色合いの奇麗さではマダイを凌ぐものがあり、また小気味良い引きによる釣趣と、さらに食味においてもマダイを越える魅力を感じるため、ハナダイ釣りの人気は衰えを知らないようだ。

ハナダイの釣期と習性

ハナダイは初夏となる6月中句から始まり、初冬の12月にほぼ終りを迎える。このシーズンの最初と最後頃は対馬暖流などの影響が多く、大瀬や明石方面(マップ参照)などの水温がやや高い沖目の釣り場が好ポイントとなりやすい。
ちなみに、秋の9月〜10月頃は産卵シーズンとなり乗っ込みに入るためか、近場のポイント(マップ参照)で数が出るが、小型が多く、15〜25cmクラスが主となる。
ハナダイの習性はあまり知られていないため、その生態を説明するには難しい面も多いが、私の経験からいうと、2種類のグループに判別することができる。その1つとしては、100匹以上の郡れを作り回遊を続ける渡りハナダイと、一方少数の群れで岩礁帯に点在しながら定着して生息している居着きのグループに分けられると推測する。従って、同じハナダイではあるが、それぞれに釣法を変える必要が生じる場合もあるが、この点については次回に説明しよう。

ハナダイを釣るためのタックルについて、釣り人個々の楽しみ方と、その釣技レベルによって大きく異なるため、今回は初級向きの一般的なタックルと釣り方を紹介しよう。さらに展開する内容は次回の中〜上級編において解説したい。


一般的な仕掛け

ロッドは、ガイド付きとインナー(中通し)のいずれでも良いが、ビギナーの場合は、短目のカ‐ボンインナーロッド(2.4〜2.7m)で、オモリ負荷30号クラスが使いやすいと思う。
ポイントの水深は40〜60mが主なので、中型両軸リールにPEラインの3〜4号をl00m以上巻いておくと良い。このクラスのタックルだと、セットで2万円程度でそれなりの物が揃う。

仕掛けについては3〜4本針の胴突きタイプでハリスの長さは20cm程度の物だと、アタリも取りやすく、糸の絡みも少なくて済む。最近は、ハリスの糸ヨレや絡みを防止することができる、「クロスビーズ」を用いた物が主流となってきている。このタイプはハリス切れの時にもハリス交換が簡単であるなどの利点も多い。

ハナダイのエサは地元で言う赤エビが一般的。船長が活きたものを用意できる場合と、釣り人が個々に赤エビを準備しなければならない場合があるので予め確認が必要だ。
自分で用意する場合は市販の冷凍品になるが、確かに活きエビのほうが食いは良いが、テクニック次第で釣果に大きな差が付く程ではない。なお、時としてオキアミで好釣果を得ることもあるので、どちらも用意してその日に合ったものを使用したい。

エサの赤エビは、針に真っ直ぐ付けて、針先は出す(図B)。エビを曲げてしまうと、水流を受け回転するため、ハリスがヨレやすくなり、トラブルの原因となるばかりか、ハナダイの食い込みも悪くなる。仕掛けの下につけるオモリは、他の釣り人と同じ号数にすると互いに仕掛けが絡み合うことも少なくなるため理想だが、基本的には水深と比例するので、30mなら30号、50mなら50号が標準となる。

船長のクセを知ろう

庄内で釣りは、マイボートに乗ることを除けば、YM遊漁船(漁業兼遊漁船)を利用することになるが、その船により、ポイントの選定、船の操作、潮と風の判断、魚探の活用、その他多くの要素において個々異なるため、船と船長の癖を覚える必要があるが、初心者にはこれが難しいので、できることなら慣れるまでは同じ船に乗ってその船長のクセを早く掴むことを勧める。

「ハナダイが釣れ出すと、わざとポイントを外す船長がいる」と、誠しやかに話す人もいるが、船長が故意にやることはまずあり得ないと思うべきだ。その日の潮流や風の関係でポイントに船を定着させておく(立てる)ことが難しいことによる場合も多く、同じポイントにおいても、ハナダイが離れたり食いが止まることもあるので、その点釣り人も理解が必要だ。ともあれ、船長と船の癖を知ると、釣り人側も船に合わせたロッドの操作、仕掛けの投入、巻き上げのタイミングなどがスムーズにできるようになる。また、船内の入座位置なども問題になるが、条件が許せぱ、ピギナーの場合はその事情を話して、船長側の船尾が他の釣り人に迷惑を掛けずに比較的釣りやすい場所であり、また釣果につながりやすい(この訳は次回にて)ので乗り込む位置を譲ってもらうのも一考である。

釣り方の基本

さて、船に乗って自分の席についたら、まず身辺に釣りに邪魔になりそうな物(例えばロープや網など)がある場合は船長に断って整埋しておくこと。これを怠ると、針がそれらに引っ掛かったりするトラブルが発生しやすいので注意。なお、船が港から出港する前から、ロッドと仕掛けはセットしておき、ポイントに着いたらすぐに仕掛げを投入できるようにしておくことは船釣り共通の基本。

船長がポイントに船を合わせて停船し、仕替けの投入OKの合図をしたら、いよいよ実釣開始。この時、オモリを遠くに投げ込む人をたまに見掛けるが、針が人体や他の物に引っ掛ける危険があるので、オモリは船べりより静かに落としたい。
また、この時点でリールのストップ(クラッチ)は予めフリーにしてスプールを親指で押さえながらオモリを落とし、一旦仕掛けを水面下に沈めるまでサミング状態(親指でスプールに半ブレーキをかけて)にし、潮流に仕掛けが馴染んでから親指をスプールから離し、仕掛けを落下させると仕掛け絡みしにくい。リールのレバーをフリーにせずにオモリを落す人が多いが、実はこれを行う(極端に言えば、キャストした瞬間にクラッチを切るのと同じ)とリールのシステム(ギア系統)を痛め、故障の原因となるので注意。

投入したオモリが海底に着くと、張っていたミチ糸が緩み、曲っていた穂先がスーと元に戻るので、もし真下に仕掛けが降りてない時は、この時点でリールを巻き込みながらロッドを立ててオモリを底から一旦一離す(この時既にハナダイが針掛かりしていることもあるが)。そして、ロッド操作でイメージ的に自分の足元(真下近く)にオモリを寄せてきてから、再度オモリを着底させたほうが次の動作に移りやすい。オモリを着底させその場所に留めた状態でハナダイのアタリを待つが、大抵潮流や風により船が流されるので、ミチ糸を引き出してやる必要があり、またこの時にオモリを引きずると根掛かりしやすい。よってリールはフリーにして、スプールを親指で押さえてサミングして糸の出を調節する。ただし、必要以上にミチ糸を出してしまうと、他の釣り人の仕掛けに絡めてしまうので、アタリが出ない時は、再びリールを巻いてミチ糸を張ってから、ロッドを大きく振り上げ、オモリを軽くジャンブさせて自分の足元側に移動させる。

以上のロッドとリール操作を繰り返すのが基本テクニックであるが、(オモリを固定した上で)ロッドにオモリの負担を掛けない状態で、ロッドの先を上下にゆっくり振って仕掛けのエサを踊らせるのもハナダイの食いを促してやるテクニックとして有効だ。

ハナダイのアタリは明確で、「ガッガッ」と食い込んだら、ロッドを軽く立ててアワセをくれた後に、リールを一定の速度で巻き上げるとバレにくい。数が出る時には、アタリが出てもすぐにアワせずに、(オモリは固定したまま)数匹を針掛かりさせるように(向こう掛かり)10秒程待ってからロッドを大きく立てて再度針掛かりを確実にしてから取り込んでくると効率良く数釣りができる。
いずれの場合もロッドを立てた後は一旦、停止させてから静かにロッドを水平に戻すようにすると仕掛けの絡みが防止できるし、ハナダイが餌づきやすくなる。

さて、この釣りのおおまかな部分がイメージできただろうか。これらを踏まえ次回はもうちょっと突っ込んだ話をしよう。
<釣船ガイド>
鶴岡市・由良漁港

「翔寿丸」0235(73)2240ここをクリックすると翔寿丸のホームページに飛びます。
「金昭丸」0235(73)3096
「甚盛丸」0235(73)3658

<釣法、その他について>
フィッシングストアカトウ 鶴岡市文園町7の1 
 0235(24)2503 店長の魚信までどうぞ


※釣り船の出港午前5時頃、帰港午後2時頃。料金は乗り合いの場合l名、8000〜10、000円(氷付き)料金とエサの有無は魚種によっても異なるので、予め船長に確認する事。
その他の詳細は相談してください。

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