高天原温泉 高天原山荘

目次
序章 −準備から折立登山口まで−
1日目 −折立登山口から薬師沢小屋まで−
2日目 −薬師沢小屋から高天原山荘まで−
3日目 −高天原山荘から折立登山口まで−
終章 −折立登山口からその後まで−

高天原温泉 旅行記録表
高天原温泉 登山記録表

3日目 −高天原山荘から折立登山口まで−

2017年9月24日 6:20

 まずは高天原山荘から高天原峠に向けて進みました。
 高天原峠までは順調でした。私の左ひざも少し痛む程度でした。

2017年9月24日 7:10


 高天原峠に到着しました。高天原峠から行きと違うコースをたどります。大東新道のコースを行くことにしました。
 大東新道コースは川沿いのコースなので、雨だとかなり危険なコースになり場合によっては行けないコースになるのですが、この日は晴れだったので、迷わず行くことにしました。

 大東新道コースは、最初はそんなにつらいコースではありませんでした。石や岩が多いわけでもないので、比較的楽でした。
 しかし、そんな矢先非常事態が起きたのです!
 倒木があったので、私がそれをまたいで越えたとき、右靴のソールがはがれてしまいました。かろうじてつま先部分の部分だけつながっていましたが、ペローンという感じではがれてしまいました。
 私はすぐに気づきました。他の仲間も気づきました。まだまだ先は長いのに、この状態では最後まで持たないと思いました。ソールがないと凹凸などをソールが吸収してくれないので、直に足の裏にその感覚が伝わってしまいます。このままだと右足を負傷しかねません。ただでさえ左ひざが痛いのに、右足も痛くなったら登山できなくなってしまいます。
 こんなときのためにガムテープを持ってきていました! 持ってきて良かった。(^o^)
 ガムテープで緊急措置をしてソールをつなげました。
 左ひざは痛くなるは、右靴のソールははがれるは、ついていないと思いました。
 嗚呼、神よ! なぜ私にこんなにつらい試練をお与えになるのでしょうか。そう思わざるを得ないことが今回の登山でありました。
 しかし、神は私を見捨てませんでした。それは左靴のソールがはがれなかったことでした。左靴のソールは最後まではがれませんでした。これは不幸中の幸いでした。

 気を取り直して、私は進路を進めました。
 そのうち、大東新道は川沿いの道をたどるようになりました。はしごを上り下りしたりもしました。川を渡ることもありました。渡るといっても石の上を渡るような感じなので、ずぶ濡れになるというわけではありませんでした。滝のような箇所の横を石や岩をつたいながら下りたりもしました。
 これ、登山コースか?と思うような場所もありました。さすがは上級者向けのコースだなあ、と思いました。

2017年9月24日 9:20

 大東新道は、高天原峠から薬師沢小屋に向けて、E沢からA沢まであります。
 私たちは途中のB沢で休憩しました。右靴が心配でしたが、ちゃんとガムテープでつながれていました。しかし、ソールのつま先部分が少しせり出してしまっていました。ソールのゴムが伸びてしまったからだと思いました。
 そんな不安な状況でも、山は何も語ってくれませんでした。私が山の厳しさを教わったときでした。

2017年9月24日 11:36

 ようやく薬師沢小屋に到着しました。
 薬師沢小屋では、登山者たちがくつろいでいました。昼時だったので、昼食を取っている方が多かったです。

 私たちも昼食を取りました。昼食は高天原山荘で頼んでおいたお弁当です。おにぎり2個とおかずがありました。
 ここでも食事がおいしかったです。(^o^)

 さあ、太郎平小屋に向けて出発です。
 薬師沢小屋から太郎平小屋に向けては一気に上って行くことになります。
 左ひざが痛い私にとってはつらい上りでした。何より左足を上げるのがつらかったです。そのため、段差があるとまず右足を上げて段差を乗り越えて、両手で地面をつかみながら、両手と右足で左足を持ち上げるような感じで上りました。
 つらい上りもなんとか乗り越えて、上までたどり着くことができました。
 そこからは緩い下りになります。下りも左ひざが痛い私にとってはつらくなってきました。左足で体を支えることがつらくなってきたのです。左ひざを伸ばしながら着地するのは大丈夫なのですが、左ひざを曲げて着地すると痛みが走りました。そのため、左ひざを伸ばしながら着地していました。

2017年9月24日 15:06

 そんな苦難を乗り越えて、ようやく太郎平小屋に到着しました。
 太郎平小屋に来ると、携帯の電波が入るようになりました。久しぶりに携帯をチェックすると、たくさんのメッセージがたまっていました。
 なかには、連絡がない私のことを心配してくれているメッセージもありました。ありがたかったです。
 この人たちの思いに応えるためにも折立登山口まで今日中に帰らなければならない。私には待ってくれている人がいる! 熱い気持ちがこみ上げてきました。

 太郎平小屋から折立登山口まではゆるい下りになります。健脚な人なら大したことがないのですが、左ひざが痛い私にとってはつらかったです。仲間たちが普通に下りて行くのに、私は左ひざをかばいながら下りて行きました。左ひざを曲げると痛いので、下りるときは左足から下りて、左足を伸ばしたまま着地しました。足を左右交互に出すのがつらい場合は左足を前に出して、また左足を前に出す・・・。そんな状態が続きました。
 右足に体重を掛けることが多くなっているので、ソールがはがれている右靴がもっと壊れてしまうかもしれない、と思いました。しかし、自分の体が先に壊れてしまっては意味がありません。このときはソールのことは忘れて、自分の体を気にしながら下っていました。

 三角点からは下りが少しきつくなりました。それでも左ひざをかばいながら下りました。
 あたりはだんだんと暗くなってきました。そのため、懐中電灯を付けながら下りました。懐中電灯は登山には必須です!
 降り続けると、ようやく明かりが見えてきました。折立キャンプ場の明かりです! このときはすごく嬉しかったです。(^o^)

2017年9月24日 18:50

 コースタイムから遅れて、ようやく折立登山口に到着しました。
 折立登山口では、先に着いていた仲間がおいしそうにジュースを飲んでいました。私も飲みたかったのですが、我慢しました。私にとって、折立キャンプ場がゴールではないのです。
 まずは、亀谷料金所を20:00までに出なければなりません。あと1時間あるのでまだ余裕ですが、さらに自宅に帰るという使命があるのです!

 折立キャンプ場の駐車場で自分の車を発見しました。車に着いて、まず登山靴を脱ぎました。
 右靴のソールは完全にはがれていました。ガムテープだけでつながっている状態でした。こんなにボロボロになりながらもよく帰ってこれたなあ、と回顧しました。

 仲間たちとはここでお別れです。
 仲間たちがいなかったら、私は帰って来れなかったかもしれません。それだけ心強い存在でした。登山初心者の私を見捨てずに、最後まで共に行動してくれて、本当にありがたかったです。

 思い出に浸るのはここまでです。私には亀谷料金所を20:00までに出る必要があります。

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