無名な名機
2001年発売 実売価格300000円(税別)、東芝のフラッグシップモデルです。オーディオファンにとっては、ほとんどなじみの無い東芝の製品ということで、ベストセラーにはなりませんでしたが、発売当時の実売価格は30万円以上、その後価格は下落して10万円以下まで落ちましたが、音質、画質とも30万クラスのグレードで、素晴らしい製品でした。
東芝の映像、音響技術をフルに投入して発表された自信作。優れた製品にも関わらず、オーディオメーカーとしての知名度、人気がなく、オーディオファンの関心を集める事ができ無かった為、正当な評価が得られなかったようです。強度と音質特性に優れるステンレス素材をシャーシ、ネジに使用し、最新型マルチビットデルタシグマDACを全chに採用、単体のDDコンバータ、オーディオDACとしても機能するPCMデジタル入力端子も搭載されるなど、フラッグシップモデルならではの贅沢な仕様でした。
やはり、オーディオ製品もブランド志向が強いというか、メーカー名で製品を選ぶ人が多いと思いますが、ブランドにこだわりすぎなければ、意外に良い製品に出会えることあります。この製品は、知名度は低いけれど優秀な製品のお手本かもしれません。音質、画質共にエソテリックのDV-30などと互角のグレードだと思いますし、その重厚なサウンドは、DENONのS−10などと比べても見劣りしません。音質に関して特筆すべきは、空間表現力だと思います。その音の広がりと奥行きは、今まで聴き慣れていた音楽に立体感を与え、スピーカーの特性が変化してしまったような錯覚を起こす程でした。またHDCD対応機種なので、HDCDの高音質な音を最大限に引き出してくれます。意外に少ないんですよねHDCD対応機種って・・・。さらに、DVDオーディオに対応、マルチビットデルタシグマDACを全CHに採用しているので、5.1chすべてのスピーカーにグレードの高い音を送り込めます。DDコンバータ、オーディオDACとしても機能するPCMデジタル入力端子があるので、BS・CSチューナなど外部から入力した音声を高音質にしてくれるというのもオーディオファンには嬉しい機能です。
この機種に限った事ではありませんが、電源ケーブルハイグレードなものに変えると、さらに高音質で楽しむ事ができます。ユニバーサルプレイヤーとして使用してもいいと思いますが、SACDの再生には対応していません。最近のSACDはハイブリッド盤が多く、このプレイヤーで再生できるソフトも多いと思いますが、その点は注意した方がいいと思います。DVDビデオ・オーディオ、HDCDに対応、しかも単体のDDコンバータ、オーディオDACとしても使用できる高音質、高画質プレイヤーなので中古で7万前後で購入できれば、お買い得だと思います。この製品のセールス的な失敗以降、東芝はハイエンド機の発売を見合わせていますが、これだけの品質の製品が評価されなかったら、やる気を無くしてもしょうがないと思います。ちょっと気の毒です。