高音質ソフト用スピーカーの完成型
2001年発売、定価60000円(1本)。SACD、DVDオーディオなど、最新の高音質ソフトの超高域を持つソースに対応するため、2ウェイ+スーパートゥイーターという構成で作られたスピーカーで、発売当時、オーディオ各誌でベストバイの1位に選出され、新世代スピーカーの完成型の一つと言える名器です。このスピーカーの音の傾向が、最近の人気機種SX-L33MK2や、SX-LT55MK2などの機種に受け継がれていきます。専用スピーカースタンドとしてLS−L5というスタンドも発売されていました。
このスピーカーとの出会いでオーディオライフが激変しました。私は、昔ドラムをやっていた事もあり、リアルなドラムの音を楽しむのが好きだったので、スピーカーはずっとJBLを使っていたのですが、オーディオ誌でベストバイの1位になったSX−L5がずっと気になっていました。DVDオーディオ、SACDなどの高音質ソフトが発売され、オーディオ機器も対応機種が発売されたばかりの時期でしたが、高音質ソフトの音を十分に楽しめるスピーカーが欲しくなり購入しました。実際に使ってみると、完全にオーディオに対する意識が変わってしまいました。音抜けが良く楽器のエッジがはっきりしたサウンドを好んでいましたが、今までは個々の楽器の音を楽しむことに夢中になり、音楽全体を楽しめていなかったことに気付きました。ミュージシャンが作り出す音楽の空間、ヴォーカルと全ての楽器が一体となった音楽の美しさを、まるではじめて音楽を聴いたような新鮮な感覚で楽しむ事ができました。このスピーカーを使ってから、ビクターのスピーカーの魅力の虜になり、次から次へとビクターのスピーカーを購入するようになってしまいました。
ビクターのスピーカーの伝統的な個性である響きの良さは言うまでもありませんが、超高域の再生は、耳にキンキン来るというよりは、空気の流れとして伝わってくるような感じで、このスピーカーでDVDオーディオを聴くと、レコーディングしているスタジオの空気が自分に向かって流れてくるような雰囲気を味わえます。低域に関しては、大口径ウーファーのスピーカーのような振動として伝わってくるような低音はでませんが、音の抜けが良く、ドラムの鳴り、ベースの弦の揺れ具合などをじっくり楽しめます。また、特筆すべきは、バスドラムの音で、引き締まった抜けの良い音になり、バフーンという感じのただらしないバスドラムの音に聴こえていたCDも、このスピーカーで鳴らすと、ドスンと引き締まり、タム類の輪郭もくっきりとした音で聴くことができます。これは、このスピーカーでしか味わえないドラムの音質と言えると思います。
カラーも美しい木目で、洋間にも和室にも溶け込みやすいデザインだと思います。ただ、スピーカースタンドを変えると、音質が変化しやすいので、できれば純正スタンドのLS-L5か、ジャストサイズのスタンドを使用した方が良いと思います。すでに製造終了の商品ですが、今でも人気のある機種で、所有している人は中々手放さないので、中古品でもあまりみかけませんが、マメにオークションなどで探せば見つかると思います。オーディオショップの中古品では、2本セットで6万円前後、オークションなどでは、5万円以下で良品が見つかれば、お買い得だと思います。
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