音のリアリティとドライブ感の両立
1986年発売当時の価格は129000円、α-Xバランス・サーキットを採用し、10万円以下のプリメインアンプで、ベストセラーとなったα607の上位機種になります。α707は、さらに上位機種である、α907に近いサウンドで、130W+130W(8Ω)という、大型スピーカーを鳴らしきるパワーと、原音に近いリアルな音の質感を楽しめる名機と言えるでしょう。
オーディオの全盛期、サンスイのプリメインアンプシリーズは、主に507、607、707、907という型番で分けられ、数字が大きくなるほど、高音質で、金額も高価になるという形式になっていました。最も人気があったのは、大体10万円以下で購入できる607シリーズ、一方、最高レベルの音質を求める人には907シリーズでした。その中間にあたる707シリーズは、中途半端な印象になってしまいますが、このシリーズは、907シリーズのような床から天井まで音楽で満たしてしまうようなスケールは無いものの、一番上の音と、一番下の音を省き、リアルな音の粒立ちや質感は907とほとんど同じという、かなりバランスのいいサウンドを聴かせてくれます。
床下から足に伝わってくるような低音ではありませんが、逆に、低音の輪郭のまとまりが良いので、ビートのドライブ感が最高に心地よく、音楽の躍動感を、体全体で体感できます。ロックやジャズを聴いていると、ジッとしていられないくらいリズムの波に乗せられてしまいます。ドラム、ベースの音がリアルなので、ヘタなリズムセクションの音源には、思わず苦笑してしまいますが・・・。また、全体的な音質としては、音の芯がしっかりと残った音質なので、音の輪郭がハッキリしていますが、不思議と音が硬すぎるような印象もありません。特に、中域の音質には、907シリーズの音質に限りなく近いという印象を受けます。ロック、ジャズの躍動感を生かしたサウンドを求めるなら、高額な907シリーズより、707を選んだ方がいいかもしれません。αシリーズの初代機ということもあり、アナログ部はMM、MC両方に対応、まだまだ、アナログレコードを楽しみたいというオーディオファンにも嬉しいと思いますし、CDなどの音源には、パワーアンプ・ダイレクト入力があるので、近年の音源を楽しむときには、このパワーアンプ・ダイレクトで接続して聴くのがベストだと思います。アナログ世代の方には、冷たい音と感じられるかもしれませんが、80年代中盤から、個性的な音質でレコーディングされた音源をリアルに楽しむには、パワーアンプ・ダイレクトにCDを接続して鑑賞するのがオススメです。
圧倒的な人気に支えられ、この機種以降、1990年代後半までαシリーズは続きAU-α707NRAは定価200000円になり、中古市場でも10万円前後の価格になっています。αシリーズ初代機であるα707は、中古オーディオショップなどでは、4万円から5万円で販売されているようです。70年代までのアナログ音源と、80年代以降のデジタル音源を、両方、高音質で楽しめる名機で、しかも907シリーズよりは安く手に入りますが、サンスイファンの間では人気が高く、あまり値崩れはしていません。
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