コンパクトスタジオモニターの隠れた名機!
1985年発売当時定価50000円(セット)。世界中のレコーディングスタジオで使用されていたコンパクトスタジオモニターJ−216の姉妹機。J−216をさらにコンパクトにしたブックシェルフ型ですが、トゥイーターにチタン蒸着振動板採用、布エッジで、コンパクトなサイズながらリアルな音質と充実した中域を楽しめる実力機です。
スタジオスピーカーの名機J216を一回り小さくしたコンパクトなサイズで、ウーファー径は12.5cm。ウーファーを小型にした事によって低音の迫力はJ216には劣るものの、バスレフホールはJ216と同じで、ドラムなどの音抜けの良さはJ216と同等、エッジが布製の為、ウーファーエッジの耐久性に関してはJ216以上かもしれません。また、トゥイーターにチタン蒸着振動板採用した事によって、高音に音のキレがあり、中域が前面に押し出されたサウンドによって、ドンシャリ型の安っぽい音にならずに音抜けの良いJBLサウンドを楽しめる名機です。
JBLの定番スタジオモニターJ216は、スタジオでも使用されているモニタースピーカーとしていまだに人気のある機種として有名ですが、一回り小型のJ213は、以外に知名度が低く販売数も少ないらしく、中古商品でも中々見つかりません。ですが、このJ213は、ヴォーカルをメインに楽しむという事に関してはJ216以上に素晴らしいスピーカーかもしれません。JBLらしいストレートなサウンドですが、ヴォーカルやメイン楽器の音がグッと前面に出てくるので、すぐ間近で歌声やメイン楽器の音を体感できるような独特の快感があり、楽器に関してはピアノやアコースティックギターの音の響きと余韻は、心の琴線に触れるほどの美しさです。ヴォーカルに関しては、距離感が近くなっているものの、JBLらしく、ヘンな色づけはされていないので、ウェットな潤いのあるヴォーカルでは、なまめかしさが感じられ、ハスキーヴォイスのヴォーカルでは、リアルな枯れた味わいを楽しめます。低音のパワーこそJ216やJ316ほどの迫力はありませんが、歌やメイン楽器を中心に音楽を楽しみたい方には、数あるJBLの名機の中でも、最も優れた名機と言えるかもしれません。モニタースピーカーとして完全にフラットなバランスで音楽を楽しみたいという方には向かないと思いますが、ジャズヴォーカル、女性ヴォーカルなどを中心に音楽鑑賞している方にとっては、JBL4312M以上に価値のあるスピーカーだと思います。女性ヴォーカルがメインの曲を聴いていると、聴き惚れてしまってスピーカーの前から動けなくなってしまうほどです。ヴォーカルを前面に出るようなオーディオセッティングの為にアレコレ悩んでいたのがアホらしくなってしまいます。また、小型の為スピーカースタンドの影響を受けにくいようで、軽めの木製のスタンドを使用しても、ほとんどパフォーマンスが落ちず、スピーカースタンドに高いお金を使わなくても済むというメリットもあります。個人的には、今以上に貧乏して、狭い部屋に引っ越すハメになっても、このスピーカーだけは、絶対に手放したくないと思っていますし、やむを得ず売る事になっても絶対に買い戻すと思います。
発売当時の定価が5万と以外に安かった為、中古で3万円前後で買っても十分お買い得だと思いますが、一般的には人気の無いスピーカーなので、中古商品も品薄で、なかなか見つからないと思います。
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