MOS-FET採用の次世代オーディオ対応アンプ
１９９８年発売、当時定価６３０００円。ダイレクトエナジーMOS-FETを採用しパワーリニアリティに優れ、立体感あふれる自然な音場を再現したコストパフォーマンスに優れる次世代オーディオ対応プリメインアンプ。
オーディオファンにはお馴染みのエネルギーロスの少ない高性能パワー素子『ダイレクトエジーMOS-FET』を採用した事により、音質に悪影響をあたえるエネルギーロスを、非常に少なくおさえ、パワーリニアリティの良さと、スピーカードライブの能力を高める優れた低負荷ドライブ性能とを兼ね備えています。スーパーリングトロイダルトランスを搭載し、非常に高い変換効率を実現するため、パワフルでクリーンな電源供給を可能にしました。また、音楽信号の瞬間的な変動に対しても電源供給能力のレスポンスが良く、特に中高域で分解能力の良い音が得られます。シャーシ及びリアパネルには、電気的伝導度を高め高周波インピーダンスを低く押さえた銅メッキ鋼板によるハイコンダクション・シャーシ構造を採用、MOS-FET採用したパワーロスの少ない設計というだけでなく、電源部、シャーシにもこだわったコストパフォーマンスに優れたアンプです。
。
パイオニアのオーディオ製品は、ユニバーサルプレイヤーの分野で価格破壊の高音質、高画質機種DV-S７４７を発売して一人勝ち、スピーカー部門でも低価格、コンパクトながら高音質機種Ｓ-Ａ４spiritがベストバイにランクインするなど、次世代オーディオ対応機種で優れた製品を発表し続けるパイオニア製品には驚かされていたので、プリメインアンプにも期待して購入しました。MOS-FET採用による豊かな音質は予想通りでしたが、音場の広がり、奥行の立体感は予想以上でした。ＳＡＣＤやＤＶＤオーディオをはじめとする高音質ソフトの豊富な情報量の音質を十分に聴かせてくれるだけでなく、スケールの大きなサウンドを再現してくれるので、特に音場、音の立体感を重視される方、ジャンルで言えばクラッシック、プログレッシブロックなどのファンには最高の機種だと思います。音質的には、MOS-FET採用により豊かに膨らんだ音が、ヴォーカル、リード楽器などメインの中域を中心に前に出てくる心地よいサウンドで、高域も解像度も高く、８０年代頃の音質の悪い音痩せした音楽ソフトでも豊かな音で再現してくれます。低域のベース、ドラムは、角の無い音像で全体の音場をバランス良く包み込む音質になっているので、長時間のリスニングでも聴き疲れしない心地よいサウンドです。低価格でここまで幅広いジャンルに対応する高音質のプリメインアンプを発売してしまうところは、さすがパイオニア！という感じですが、ギターやピアノなどの弦楽器の音像が極めてクリアでヴォーカルの生々しさも秀逸なのに、低域がソフトなサウンドなので、ゴリゴリとエッジの効いたベース音、ドラムスティックがヘッドに当たる時のアタック感などまで感じられる硬質な音が好きな人には物足りないかもしれません。音楽全体をバランス良く、スケールの大きな音場で楽しむという意味では優れたアンプで、ボリュームを絞っても高音質、しかも低音楽器が自己主張しすぎないので低域による振動も伝わりにくく、アパートやマンションなどに住んでいて、大きな音で音楽を楽しめいない環境の人にとってもありがたいアンプだと思います。
昔ドラムをプレイしていた私は、硬質なサウンドが好みでドラムの音質にはうるさいので、ドラムの音に不満がありましたが、最近は、女性ヴォーカルを中心に音楽を楽しむようになって、一軒家からアパートに引っ越して音量に気を使わなければならなくなった事もあり、このアンプをメインに使う事が多くなりました。かなりボリュームを絞った状態で聴いてもMOS-FETの効果で豊かな音楽を楽しめますし、硬質でエッジの効いたベース、ドラムの音だと、大きな振動が隣の部屋に伝わり近所からの苦情の原因になってしまいます。もう歳なので原音に近い生々しいサウンドを長時間聴くと疲れてしまうという事もあり、このアンプは、しばらく手放せないと思います。
オーディオ製品の買取、中古販売はＡＶスポットフジ
