A級アンプの迫力に繊細さを加えた名機!
1988年に発売当時定価99800円。10万円以下の価格で純A級のパワフルなサウンドを実現し大ヒットしたAX−Z911の後継機。ビクター独自のK−2インターフェイスを搭載し、純A級アンプの音の力と、繊細な音質を共存させる事に成功した名機として知られています。
AX−Z911からの改良点としては、DACが、16ビット4倍オーバーサンプリングから18ビット8倍オーバーサンプリングになり、左右独立コンビネーション4DACを搭載。常時18ビットをフル可動させる事によって、微小レベルの高分解能を実現しています。また、DAC以降のアナログ信号経路は接点数や配線長を大幅に削減していて、DACダイレクトスイッチをオンにすると、配線はわずか0.5mと極めてロスの少ない構造になっています。ビクター独自のK2インターフェース採用のD/Aコンバーターを搭載したことにより、ビクターらしい美しい音の響きと、音の伸びを楽しめる音質になっています。AX−Z911と同様に信号の大きさを予知し、アイドリング電流を入力信号に見合った最適レベルに設定できるので、合理的な電源供給によって、高音質なサウンドを楽しめます。デザインは、AX−Z911とほとんど同じですが、ソース選択のボタンが正面に配置されて操作しやすくなっています。また、デジタル入力端子があり、光端子の入力が可能なので最近のDVDプレイヤーなどからの光端子での入力も可能です。
原音に限りないストレートなサウンドの純A級アンプとして高い評価を得たAX−Z911の後継機ですが、基本的な音の力強さはそのままで、更なる解像度の高さと美しい音の響きを加えたような完成度の高いアンプで、発売当時、有名なオーディオ評論家である長岡鉄男氏も絶賛していた名機です。AX−Z911は、NECのA−10の様なパワフルなサウンドでしたが、このAX−Z921では、近年、ベストバイの常連になっているDENONのサウンドの原型になっているような繊細さも持っています。ビクター独自のK−2インターフェイスの効果でしょうか、音の響きの良さと伸びが加わった事によって、音の力はそのままで、空間的な表現力もアップして、解像度も上がり、かなり完成度の高いプリメインアンプになっています。AX−Z911がスッピンそのままのストレートな表現力だったのに比べて、極端な色付けをせず、本来の美しさを際立たせる為に、効果的な薄化粧をほどこして、原音の美しさを引き出したような絶妙な音質で、音の伸びが良くなった事によって、音の奥行き、広がりも増して、スケールの大きいサウンドアレンジのロックや、クラッシックファンなどにも満足できる仕上がりになっています。ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルだけのシンプルで古いロックを聴くならAX−Z911がいいかもしれませんが、ピアノの響きやストリングスアレンジが加わった曲を聴くなら、このAX−Z921が絶対にオススメです。また、先進的な音作りだったのか、1990年以降に発売された音源に関しても全く古さを感じさせない表現力で、1980年代までの音源を再生するより、最近発売された音源に向いているような気がします。また、空間表現力がアップしているので、DVDでの映画鑑賞などでもスケールの大きなサウンドが楽しめるので、2chで楽しむならAV兼用アンプとして使っても満足できる音質だと思います。
このアンプも、AX−Z911と同様、今となっては知る人ぞ知る名機なので、中古商品が以外に安く入手できます。中古オーディオショップなどの相場は2万円前後で、サンスイの907シリーズやNECのA−10シリーズに比べて、かなり安く入手できるのも魅力です。ただし、好みにもよりますが、アナログを中心に楽しむ方にとっては、サンスイの907シリーズほどの満足感は得られないかもしれません。