PMA-2000シリーズの完成型!
1996年に初代PMA−2000が発売されてから、その価格帯からは考えられない高音質で、オーディオ誌のベストバイの常連となったシリーズも、このPMA−2000Wがシリーズ最終機となりました。PMA−2000シリーズの完成型とも言える実力機だと思います。出力素子にはUHC-MOSを採用し、最小単位の増幅素子で、なんと通常の3〜10倍の電流供給能力を持ち、シングルプッシュプル回路で構成して表現力とハイパワーの両立を図っています。電源部も、新開発のオーディオ用ブロックコンデンサーを採用したHigh
Current Dynamic電源回路を採用、整流用に大電流型ショットキー・バリア・ダイオードや新開発ブロック型電解コンデンサーにより、全帯域にわたり安定した電流供給を可能にしています。さらに電源トランスは、2つのトランスを並列接続することで電気・磁気特性を大幅に改善しています。NECのA−10シリーズが今でもオーディオファンに絶大な人気があるのは、強力な電源部によって極めて生の音に近い音のパワーを表現してくれるからだと思いますが、このPMA−2000Wの電源部の改良は、まさにPMA−2000シリーズにNECのA−10シリーズの力強さを加えたような魅力的な音を実現してくれました。しかも、ロック、ジャズに向いているという限定的な音ではなく、微弱な音もクリアに再現してくれる繊細さも兼ね備えているので、オールラウンドで音楽を楽しみたいという方には最高のプリメインアンプだと思います。
まず第一に印象的なのは、音場の安定感。音のふらつき、主にスネアドラムの位置が安定せず、安定感の無い音場にイライラするのは、10万円クラスのプリメインアンプでは、よくありがちな事ですが、電源部の大幅な改良により、セパレートアンプのような安定感のある音場が実現!。ドラム、ヴォーカルを中心に音の定位が良く、ユラユラとスネアドラムの位置が揺れたり事がなく、どっしりと楽器の位置が安定しています。これはNECのA−10シリーズで感じた安定感と同じでした。音質的には、『繊細さと力強さ』というDENONのコンセプト通りの個々の楽器の繊細なタッチと、ドラム、ベースなどの低音楽器のパワーを損なわない贅沢な音になっています。ドラムの音抜けも良く、メロディックなタムのフレーズは粒立ちが最高です。ベース音はパワフルですが、暴発するような張り出しの大きい音ではなく、輪郭と艶のある音色でバランス的に秀逸です。音の定位の良さもあり、ヴォーカルはグッと前面に出てくる印象で、色艶があり、ヴォーカリストのブレス感が心地よく聴こえてきます。長時間聴いていても聴き疲れしないのが不思議ですが、心身ともに疲れたときに、このアンプでじっくりと音楽を聴くと、身も心も癒されます。
DENONのCDプレイヤーを使用しても最高ですが、個人的にはマランツのCDプレイヤーとの組み合わせが気に入っています。高解像度の音質のCDプレイヤーの音質に、パワーと色艶が加わって、バランスの良い理想的な音質で音楽を楽しめると思います。基本的には、ヴォーカル中心の音楽、ロックならヘヴィメタル、ハードロックよりは、AOR、ジャズ、フュージョン系の音質に向いていると思いますが、フィリップスLHH−500などのCDプレイヤーや、NECのCD−10と組み合わせれば、ハードロック系も十分に楽しめると思います。アナログファンにとって嬉しいことには、PHONOはMM、MC両方が使用可能、背面のプッシュボタンによってMM、MCの切り替えが可能になっています。パワーアンプとして使用するのは勿体無い気もしますが、プリアウト出力も搭載されているのでパワーアンプとしての使用も可能です。スピーカー端子は、バイワイアリングに対応しています。トーンコントロールは、レスポンスがいいので、大きなトーンの変化を色々と堪能する事が出来ると思います。
2008年の時点で、PMA−2000シリーズの最新機種PMA−2000AEは新品で購入が可能ですが、PMA−2000AEは、音の傾向が変わり、クラッシック系のファンをターゲットにしたような、なめらかなサウンドになっているようなので、ロック、ジャズ、ポピュラーヴォーカルなどを中心に楽しみたい方は、中古商品で2000Wを探した方がいいかもしれません。今でも人気機種なので、中古でも8万円から10万円が相場になっているようです。